2024年4月25日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年8月14日

 中韓共同声明は、北朝鮮に制裁を課す安保理決議や北朝鮮に核開発計画の放棄を求める2005年の合意を忠実に実行することの重要性を強調し、また、2009年に中断された6カ国協議の再開を求めている。

 次に何が起こるかは不確かである。北朝鮮は言動を改めてはいるが、核兵器を放棄する兆候は見せていない。

 長期的には、経済的・社会的変化が問題解決に資するかもしれないが、中国にとってのディレンマは、改革を急がせ過ぎれば、金体制が崩壊するかもしれないことである。

 このような見通しを踏まえ、米韓両国は、北朝鮮の体制崩壊を利用して軍隊を中国国境まで進出させるようなことはしないと中国に保証することは出来る。

 これまでは、米国が体制崩壊に備えた緊急対応計画についての静かな対話を提案しても、中国側は、北朝鮮を刺激し弱体化することを懸念し応じなかった。しかし、中国にとって、緊急対応計画につき話し合う方策を見出すことは、難局を脱する次のステップになるかもしれない、と論じています。

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 ナイは、米韓両国が北朝鮮の体制崩壊を利用して中国国境まで軍隊を進出させることはしないと中国に保証すれば、中国は北朝鮮への圧力を強めると見ているようです。

 しかし、中国側の発表を見る限り、中国は、米中首脳会談でも、中韓首脳会談でも、先般の米中戦略・経済対話でも、北朝鮮問題については、半島の非核化、半島の平和と安定の擁護、対話と協議による問題解決、6者協議の早期再開などを唱え、関係諸国の努力を求めているだけです。米韓両国が軍隊を中国国境まで進出させることはしないと中国に保証したとしても、中国が北朝鮮への圧力を更に強める保証はありません。中国としては、中国の原則的立場を北朝鮮側に厳しく申し渡したことだけで、当面の役割は果たしたと考えている可能性もあります。

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