2024年6月23日(日)

オトナの教養 週末の一冊

2023年6月27日

今が正しい、という人間の思い込み自体が間違い

 気候変動問題の核心とも呼べる温暖化の防止、すなわちSDGs削減に対しても、酒井さんは「首を傾げざるを得ない」とする。

 なぜなら、気候変動要因はCO²排出以外にも太陽の熱放射の変動や火山の爆発などがあり、重要な海洋の深層対流(約1000年で地球を一周)さえもICPP(気候変動に関する政府間パネル)は、その長期予測の中に取り入れていないからだ。

 「短期はともかく、長期の気候変動はよくわかりません。ここ100万年ほどは10万年単位で氷期・間氷期を繰り返して、間氷期は通常1~2万年。すでに間氷期は1万年経過していますから、1970年代頃までは“次は氷期到来か?”と言われたくらいです」

 現在の気温は産業革命期からの1・1度上昇が問題視されているが、前回の氷期から間氷期への移行時には、数年で気候が3度も上下するような激変状態が約1300年間も継続した、とのこと。

 「すると、現在私たちが暮らしている間氷期は、長く続くかどうかわからない、ということですか?」

 「その通り。今が正しい、という人間の思い込み自体が間違いです。気候は大きく変動する。地球はずっとそうでした。現在の巨大人口を維持するなら、温暖化と寒冷化のどちらがいいか、よく考えておいた方がいいですね」

 「環境運動家グレタ・トゥンベリさんのような、世界中がすべて気候温暖化防止に取り組まなければならない、という主張はむしろ良くない?」

 「とても危険です。一つの目標への固執は、カオス理論から見ても、全体を不幸な結末へと導きかねません」

 人間社会や地球環境等の生態系は、生物や環境条件の複雑な組み合わせなので、未来予測が不能なカオス(混沌)の世界である。

 ただし、システム自体が自己組織化するスケールフリー構造でもあり、やがては不平等や格差はあるものの安定した状態になる。


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