人は感情調整をどのようにして学ぶのでしょうか。それは他者との触れ合いの中で学ぶのです。例として言えば、幼い時のことを思い出してください。走って転び膝を擦りむいた時、母親のスキンシップで泣き止むことができたと思います。まだ、傷は痛むのに再び走り出せる。こうして感情を抑えることを学びます。理性の力で調整するのではなく声の調子や、優しいまなざし、顔の表情、体を触ってくれるなど右脳の働きです。
辛い時に自分の感情をどのように扱えるかが重要なことです。うつになる人は、この感情調整がうまくできていないケースが多い。認知行動療法の中にあるマインドフルネスという手法で、学習していくことができます。
―― ストレスが降りかかっている時こそ、感情表現力を最大限に発揮しなければいけないのでしょうが、その力が弱まっている。どうして弱くなっているのでしょうか。
岩壁:感情調整力が弱くなっているのは、情報伝達手段の多様化にあると思います。とくに携帯電話でのメールなどは利便性が高いが、あまりにも使い過ぎ、頼り過ぎています。1日中携帯の画面を見ている現象は、感情表現力を弱めてしまう。なぜならば人が脳で感じることは身体的な触れる、見るということと繋がっているから。人と接することで感情調整力は豊かさを増すのですが、文字だけを追う生活は無感情の状態をつくってしまいます。
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