産業規模は50年には180兆円に達する
またカプリンスキーさんは将来日本でも飛行実験を行い、日本の観光資源の発展のためにASKAを運用してほしい、という希望も語る。「例えば佐渡ヶ島などはもっと外国人観光客の注目を集めても良い場所だが、移動に時間がかかる。でもASKAを使えば品川から佐渡ヶ島の宿まで1時間半で移動でき、また1時間あたり80人の輸送が可能になる」。
空飛ぶ車は地上の交通渋滞の解消、移動の短縮、電動の導入による環境負荷の軽減などで大きな注目を集めている。その産業規模は50年には180兆円に達する、という試算もある。日本では大阪万博で空飛ぶ車で一部乗客を搬送する計画も立てられている。
ただし実現にはそれなりのハードルもある。米ライドシェア大手のウーバーは自社で空飛ぶタクシー開発に取り組んでいたが撤退、現在はジョビーへの投資を行っている。韓国現代自動車と提携したロサンゼルス空港と郊外を結ぶ空飛ぶタクシー計画も頓挫している状況だ。コスト、飛行ルートの確保、料金設定などの問題に加え、FAA認可など安全性と効率性を証明することへの課題も多い。
カプリンスキーさんはジョビーの認可について「彼らがパイオニアとして認可への道のりを拓いてくれたことの功績は大きい。前例があることで後発企業の認可プロセスにかかる時間が短縮できる」と語る。
機体のデザイン、エンジンと電動モーターの開発、機体の素材の成形まで自社で開発製造を行い、FAA認可への最初のステップをクリアしたASKA。日本でその勇姿を見られる日は近いかもしれない。