2024年12月22日(日)

From LA

2023年6月3日

サンフランシコにあるテスラのバッテリーチャージャー(Getty Images))

 今年の1〜3月期、ついにテスラモデルYがグローバル販売台数でトヨタカローラを抜いて世界1位となった。昨年の時点でトヨタRAV4、カローラについで3位だったが、予想を上回るトップ獲得、しかもモデル3も好調で、本格的なEV時代は着実に近づきつつある。

 そんな中、衝撃のニュースが登場した。テスラは北米でも本格的に自社のEV充電ネットワークを他社のEVに開放し始めたのだが、これにフォードが提携したのである。5月26日にフォードCEOジム・ファーレイ氏とテスラCEOイーロン・マスク氏が行った発表によると、米国とカナダに1万2000基以上あるテスラのスーパーチャージャーに、フォード車オーナーはアクセス権を持ち、来年はじめからテスラのチャージ網を利用できるようになる。

 テスラは充電プラグの形態が独自で、このためスーパーチャージャーを開放するためにはアダプターが必要だった。しかしフォードでは次世代EVからテスラ型のプラグを備え付け、従来型のCCSと併用できるようになる。

GMや他社に大きなプレッシャー

 なぜこれがビッグニュースなのかというと、同じくライバルであるGMはEVgo社と提携したチャージ網を展開、フォルクスワーゲンなどドイツ車はElectrifyAmerica社のチャージ網を展開していた。これまでフォードはフォルクスワーゲンとの提携関係もあり、ElectrifyAmericaのものを使用していたが、このチャージ網の勢力が一気に塗り替わる可能性がある。

 元々、EVgoもElectrifyAmericaもチャージの台数そのものではテスラに遠く及んでいなかった。そのため自社のディーラーや公共チャージステーションの増設に熱心だったのだが、すでに各地に存在するテスラのスーパーチャージャーを利用すれば速く、便利にEVの充電が可能となる。今回のフォードの決定は、GMや他社に大きなプレッシャーをかけることになる。

 フォードはテスラよりもかなり少ないとはいえ、昨年の実績では米国で6万台以上のEVを売上げ、販売台数ではGMを上回り2位につけている。つまり米国ではEV販売1位のテスラと2位のフォードが充電面でパートナーシップを組んだ、ということになるのだ。

 しかもテスラは現在の1万2000基に加え、2024年末までに新たに7500基のチャージステーションを開設する、としている。全世界ではチャージステーション数は4万5000基となっている。

 フォードのファーレイ氏は今回の提携について「利用者の利便性を第一に考える必要がある。チャージステーションに不安があるからEV購入をためらう人を減らさなければならない。現在のように各社で統一基準がない状態は好ましくない」と語った。つまり今後フォードは全面的にテスラ型のプラグに移行し、CCSを使わなくなる可能性もある。


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