2024年4月20日(土)

From LA

2023年6月1日

 任天堂スイッチのゲーム、ゼルダの伝説「ティアーズ オブ ザ キングダム(ティアキン)」の売れ行きが世界的に好調だ。日米欧での発売日が5月12日で、17日の時点で全世界での売上が1000万本を突破、うち400万本が北米市場で販売された。

(Antonio_Diaz/gettyimages)

 前作となる「ブレス オブ ザ ワイルド(ブレワイ)」が大成功しただけに、続編となるティアキンへの注目度は高かった。単なる焼き直しになるのでは、と不安視する声もあった。

 しかし、実際は地上だけではなく天空、地底世界へとフィールドを広げ、かなりボリュームアップした上に難易度もアップ、米のゲームサイトでも10点中10点満点に近い高評価を得ている。

新たな楽しみ方を提示

 とあるゲームサイトでは「ティアキン」について「これはブレワイのレボリューション(焼き直し)ではなく、エボリューション(進化)だ」と絶賛している。同じ地図や世界観を使いながら、全く新しいゲーム体験ができる、と感じさせる内容になっている。

 もともとゼルダシリーズは米国に多くのファンを持つ。一部では「ファイナルファンタジー(FF)」、「ドラゴンクエスト」などよりも人気を誇る。

 その理由は戦闘ゲームでもRPGでもなく、謎を解きながら幾度も失敗を繰り返すプロセスを楽しむ、という点が挙げられる。ゼルダシリーズは元々「イライラゲーム」と言われるほどギミック(仕掛け)の解き方が面倒なのだが、それゆえにラスボスを倒すという目的ではなくプロセスを楽しむのが正統派の楽しみ方と言える。

 例えば、米国では日本はそれほど人気のない「FF12」の評価が高い。戦闘スタイルがプログラミングのように自分で決められる、キャラクターに固有武器がなくどんなキャラでも戦闘の中心に出来る、など自分の好みでゲームが組み立てられるのが受けるのだ。

 その意味では「ティアキン」は新たにクラフトという要素が加わり、ミニダンジョン「祠」やギミックの解き方にさらに自由度が高まった。多くのゲーマーが自分だけの方法を編み出し、それをネット上で公開して意見を交わす、という楽しみもある。

 元々米国ではゲーム上のエリアを自由に移動できるオープンワールドスタイルのゲームが人気だ。高難易度で話題となったフロム・ソフトウェアのアクションRPG「エルデンリング」ではテスラ社CEOイーロン・マスク氏が「クリアした」とツイートして話題になった。個人主義の米国ならではなのか、シナリオがなくオープンワールドで自由に冒険できる、というスタイルが好まれる傾向がある。


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