2024年7月13日(土)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2023年8月3日

 また、7月には画像生成AIモデル「通相万相」を発表した。テキストを入力すると画像を生成するものだが、水彩画、油絵、二次元などの画風を選ぶフィルターが用意されているのが面白い。アリババはこれまでもAIを使ってネットショップの商品画像の検索や、「セール中!」などのテキスト追加などEC関連の機能を多数提供してきた。画像生成AIも今後、ネットショップに実装されていくとみられる。

通義万相で生成した画像。プロンプトは「東京上野で串焼きを買う」

 ゲーム・メッセージアプリ大手のテンセントは6月19日の発表会で、「業界別大規模言語モデル・モール」を構築すると発表した。メディア、文化旅行、行政、金融など10を超える業界に50以上ものソリューションを提供するという。

 クライアント企業専属のカスタマイズされた生成AIの構築も支援する。行政では市民の質問に答え情報を提供するチャットボット、教育では学生の疑問に回答し学びの手助けを提供するチャットボットが紹介された。

 通信機器・端末大手のファーウェイは7月7日に大規模言語モデル「盤古3.0」を発表した。テンセントと同様に、行政、金融、製造、工業など業界別ソリューションを提供し、クライアント企業専属のAI開発も支援する。

スタートアップも続々参入

 BATH(バイドゥ、アリババグループ、テンセント、ファーウェイの頭文字)の動向を見ると、ChatGPTと同じく一般ユーザー向けに開放しているのはバイドゥだけだ。残る3社は業界別に特化したソリューションに注力している。

 ChatGPTのような汎用的な大規模言語モデルの構築にはビッグデータからの教師なし学習に加え、RLHF(人間の評価による学習)が必要となり、多額のコストと時間がかかるために容易には実現できないとされる。また、後述するが、中国ならではの政治的な理由もある。そのため、まずは用途を限定した業界特化型のAIを作るのが主要なトレンドだ。

 BATH以外にもEC大手のJDドットコム、TikTokを擁するバイトダンス、セキュリティサービスの360、AIベンダーのセンスタイムなど主要なIT企業やAIベンダーは軒並み独自の大規模言語モデルを発表している。また、北京智源人工知能研究院や復旦大学、中国科学院など大学・研究機関系も存在感を示しているほか、有力企業家によるスタートアップも目立つ。


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