2024年4月20日(土)

21世紀の安全保障論

2023年8月10日

 特に外部からの支援を得にくい先島諸島では、武力攻撃に際して「自助」=個人や家族はどう行動するか、「共助」=企業、学校、町内会、自主防災組織、消防団などはどう行動するか、について平素から準備しておくことが重要になる。しかし日本では、武力攻撃について考えることを忌避する傾向が強く、国民保護に関する自助や共助が国民に浸透していくことは期待できない。まずは国が国民保護に関する自助や共助の拡充・活性化を後押しする必要がある。

悲劇を繰り返さないためには

 太平洋戦争において沖縄は多くの住民が犠牲となる悲劇を経験した。その最大の原因は、当時「住民を守るための体制が不十分」であったことだ。

その悲劇を繰り返さないためには、国、自治体、地域社会および住民自身が避難を含む国民保護のための体制構築に力を尽くさねばならない。本稿で指摘した地下シェルターの整備、物資の備蓄、住民サービスの維持、自治体による輸送手段の保有などは、その一部であり、国民保護に関する学校や地域での教育および訓練にも真摯に取り組み、意識を変えていく必要がある。

 その際に重要となるのは、最悪の事態も想定することだ。武力攻撃に先立って住民が島外に避難できるとの想定も必要だが、島内避難を余儀なくされることも想定せねばならない。また、ミサイル攻撃を想定する必要はあるが、太平洋戦争当時のように本格的な島嶼侵攻を受けることも想定せねばならない。

 起こりうる事態を「想定外」として封印し、備えを怠ることは悲劇への第一歩となる。日本人はそのことを東日本大震災で学んだはずだ。過去の悲劇を繰り返さないため、国、自治体、地域社会および住民自身が勇気を出して最悪の事態を見据えるべきだ。

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