第五に、中国は、北朝鮮に対する基本的な外交姿勢を変えていないように見える。中国は、米韓日には無条件で6か国協議に戻る責務がある、と考えているおり、また、6か国協議が、北により大きな外交的圧力をかけることになる、5プラス1の方向に再編されるべきだとする、あらゆる提案に反対し続けている。
第六に、中国の専門家が朝鮮半島の将来について議論することに前向きであるのに対して、中国政府は、ソウルやワシントンとの議論を促進することは、北朝鮮を刺激したり、米韓による体制変換を誘発しかねないとして、慎重さを維持しているようである。
以上のことから、中国の北朝鮮への見方には重要な変化があり、中国では北朝鮮についての多くの議論があるが、中国の北朝鮮に対する根本的な戦略が変わったと言うのは時期尚早である、と論じています。
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この論説は、マイケル・グリーンが、中国の専門家や当局者、米国や北東アジアの中国専門家の意見を聴取した結果としてまとめたもので、実にバランスの取れた良い論説です。個々の論点の取捨選別にも、その上に立った総合的判断にもスキがほとんどありません。
おそらくは、今後の中国の対北朝鮮政策は、この論説の通りであろうと思います。少なくとも、今後国際情勢の大きな変動が無い場合は、このあたりが、もっともバランスの取れた判断と言って差し支えないでしょう。
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