2024年2月27日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年10月11日

 ナゴルノカラバフをめぐりアルメニアとアゼルバイジャンは1991年のソ連崩壊後ずっと対立していたが、ロシアがウクライナ戦争もあってコーカサスでの影響力を低下させる中で、アゼルバイジャンがナゴルノカラバフを「対テロ作戦」と称して攻撃し、今回の事態が引き起こされた。

 勝利したアゼルバイジャンはナゴルノカラバフの主権回復を宣言し、同地の「アルツァフ共和国」は、24年1月1日までに解体されることとなった。一応停戦がロシアの仲介で成立した状況であるが、今後の進展を注意深く見守る必要がある。

 記事にもある通り、20年にアゼルバイジャンはナゴルノカラバフを巡りアルメニアと軍事衝突し、これに勝利した。その結果、「アルツァフ共和国」は領土の多くをアゼルバイジャンに返還することとなった。

 さらに、22年にはアゼルバイジャンがアルメニアの国境地帯を攻撃し、アゼルバイジャンが戦略拠点を占領するなど、両国の軍事紛争においてアゼルバイジャンの優勢は更に強まっていた。

影でうごめくトルコ

 アルメニアはロシアがソ連崩壊後北大西洋条約機構(NATO)に倣って成立させた集団安全保障条約機構(CSTO)に加盟している。しかし、アルメニアとアゼルバイジャンの紛争において、ロシアがその条約に従ってアルメニアを支援したことはない。

 それに対する失望感は、アルメニアのロシア離れを引き起こした。アルメニアが米軍との共同軍事演習を行うなどは、かつては考えられないことであった。

 これに対し、アゼルバイジャンの方はトルコの影響力が強くなり、両国は今や準軍事同盟関係にある。

 ロシアのコーカサスでの影響力は今や地に落ちていると言ってよいように思われる。ロシアはグルジアとも、南オセチアなどのロシアの傀儡政権樹立を巡り関係は良くない。

 コーカサス情勢と連動しているかどうかは議論の余地があるが、ウクライナ戦争のせいで中央アジア5カ国にもロシア離れが起こっている。カザフスタンはその北部に多くのロシア人居住者を抱えており、それがウクライナ東部のようにロシアの侵攻の理由にもなりかねないと強い懸念を有し、領土の一体性の尊重を強く主張している。

 ウクライナ戦争後、ロシアは国際的影響力を失い、弱体化する可能性が高い。その理由の一つは旧ソ連諸国のロシア離れである。このアルメニア・アゼルバイジャン紛争はその一つの現れではないかと思われる。

   
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