2024年12月22日(日)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2023年5月31日

 5月19~21日の3日間にわたって開催された主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)および関連諸会合は、大きな成果をおさめた。すなわち今回のサミットは、国際社会の分断が急速に深まる中、G7に代表される先進国がグローバルサウスに代表される新興国と協調しつつ、世界的課題の解決や普遍的価値の擁護について一致結束してリードするという確固とした決意を、世界に向けて明確に示すものであった。

 特に、第二次世界大戦以降に営々と築かれてきた平和と安定のための国際秩序は、中国やロシアといった権威主義・専制主義的体制の一部国家によって深刻な挑戦を受けているが、これに対する姿勢を再確認し、国際社会に明示したことは重要であった。こうした中で、ロシアの侵略を受けているウクライナからゼレンスキー大統領が直接参加し、悪意ある勢力による国際秩序の一方的破壊がもたらす悲劇と、こうした理不尽に対して徹底的に抗う気概を示した意義は、極めて大きい。

 そして、もう一つの成果は、個々の利害関係から先進国間で乱れがちとなっていた対中国での姿勢に、一定のコンセンサスを形成し、これを示すことができた点である。今回のG7サミットでは、インド、豪州、韓国、ベトナム、インドネシア、ブラジルなどの首脳も招待枠で参加したが、中国は招かれることがなかった。

G7に対抗するように中国が開催した「中国・中央アジアサミット」(新華社/アフロ)

 その上でG7首脳宣言では、中国との関係は、「安定的かつ建設的な協力」、「デカップリング(分離)ではなくデリスキング(リスク低減)」を目指すことを共通アプローチとした。一方で、中国による経済的威圧行為、台湾問題、東・南シナ海への不法侵出、チベットや新疆ウイグルなどでの人権侵害、自由主義諸国の民主政治への不当干渉などには、直接的な言及と妥協なき姿勢が示された。

中国の反応と「中国・中央アジアサミット」

 これに対して、中国の反応は極めてわかりやすかった。20日のG7首脳宣言を受け、中国外務省の報道官は「中国を中傷し、内政に粗暴に干渉している」、「強烈な不満と断固とした反対を示す」と反応した。

 それでも気が収まらないのか、21日には孫衛東外務次官が垂秀夫駐中国大使を呼び出し、同様の抗議をした。外交常識として、このような手法は二国間問題で取られるもので、国際会議議長国としての差配に言いがかりをつけるため用いるのは異例であり、筆者は強烈な違和感を覚える。

 垂大使はその場で即座に、中国の国際社会での振舞いにこそ問題の原点があると正論をもって明確に反論したが、中国は翌日に「日本大使は逆ギレするな」と荒唐無稽な再反論をしている。


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