主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)は多くのドラマに彩られた。
各国首脳が打ちそろって原爆死没者慰霊碑でこうべを垂れ、ウクライナのゼレンスキー大統領が電撃的に登場して世界の耳目を集めた。
大きな焦点とみられていたAIの規制問題などはすっかり影が薄くなってしまったが、実のある討議を通じて強いメッセージも発せられ、久々に実を伴った首脳会議となった。
従来、そのあり方、意義をめぐって、形骸化しているなど議論があったサミット。再びかつての輝きを取り戻すか。
中国に対ロシア圧力求める
広島サミットの特徴、成果をみると、真っ先にあげるべきは、昨年に続き〝政治サミット〟の色彩が強かったこと。なかでも〝21世紀の新冷戦〟の構図が鮮明になったことだろう。
「日欧米連合」VS「中露枢軸」がそれだ。ウクライナ問題が今回のサミットの中心議題、ロシア非難一色に染まったのは、ゼレンスキー大統領の出席もあって当然だったが、中国に対しても厳しい視線が注がれた。
力による威圧や現状変更への反対、台湾問題の平和的解決が首脳声明に盛り込まれたのは昨年同様だが、今年は「ロシアが軍事的侵略を停止し、即時完全、無条件にウクライナから撤退させるよう圧力をかける」ことが求められた。
国際法を無視した中国とロシアの強い連携へのG7としての危機感の表明であり、ウクライナで起きていることはアジアでも起こりうるという日本の懸念に各国が理解を示した結果だろう。岸田文雄首相の作戦が功を奏した。
中国外務省は強く反発、21日に早速、日本の垂秀夫駐中国大使を呼び、強く抗議したというが、こうしたことは各国とも織り込み済みだろう。