2024年4月21日(日)

Wedge OPINION

2023年5月23日

 英紙「ガーディアン」は、ロシアによる核兵器使用の威嚇、北朝鮮の核開発継続などに言及して、「核軍縮への情熱は高いとは言えない」と伝えながらも、各国首脳の献花、資料館視察を詳しく報じ、「岸田首相は非核化の問題を今年のサミットの主要課題に据え、首脳声明にロシアへの非難が盛り込まれることが実現した」と論評した。

 一方で、今回発表された「核軍縮に関する広島ビジョン」に対して、「具体的な道のりが示されていない」(朝日新聞)、「あたらしい内容がなく期待外れ」(核廃絶に取り組む国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」)など手厳しい指摘があることも各国首脳は留意すべきだろう。

ゼレンスキー大統領にF16の土産

 ウクライナのゼレンスキー大統領の出席実現に至るまでの詳細な経緯などについては、詳らかにされていないが、ロシア非難で結束する場に大統領自身が出席した意義は大きかった。ウクライナはこれによって、G7各国首脳からいっそうの支援を引き出し、サミットのアウトリーチ会合に招待されたグローバルサウスを自らへの側に引き寄せる効果もあった。

 大統領出席が象徴的意味合いにとどまらなかったのは、この機会にウクライナが強く求めていたF16 戦闘機の供与問題が大きく進展したことだろう。F16を保有する国が第3国に供与する場合は、製造国である米国の同意が必要で、ロシアを刺激することを懸念するバイデン政権は慎重な姿勢を示してきたが、大統領が19日の首脳会合で方針変更を表明した。

 米国は、供与に積極的な英国、オランダ、ベルギーなどともに、ウクライナのパイロットへの訓練も行うという。パイロット訓練には長期間が必要で、実践への投入は来年以降になるとの見方もあるが、戦局を大きく変えるカギとなりうる。

転換点のサミットと語り継がれるか

  サミットは1975年、世界が直面する経済の問題を各国首脳が胸襟開いて話し合おうという趣旨で、フランスのジスカールデスタン大統領(当時)の提案で始まった。

 第1回のフランス・ランブイエ会議以来約50年。冷戦たけなわの80年代は政治討議に多くの時間が費やされ、その後は経済、政治の状況によって、いずれかに重点が置かれてきた。

 83年のウィリアムズバーグ・サミット(米国)の政治宣言には、米ソ間で対立のあった欧州の中距離核戦力(INF)配備問題を念頭に「サミット参加国の安全は不可分であり、グローバルな観点から取り組まなければならない」という文言が含まれた。

 日本が世界の安全保障に積極的に関与していくことを示したとして語り継がれているが、新しい冷戦構造を鮮明にした今回と酷似している。広島サミットも大きな転換点として記憶されるかもしれない。

   
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