英フィナンシャル・タイムズ紙欧州外交特派員のヘンリー・フォイが5月8日付の記事‘Armenia and Azerbaijan to resume peace talks in Brussels’で、ベルギー・ブリュッセルでのアルメニアとアゼルバイジャンの首脳会談と和平協議再開の背景を解説している。記事の概要は、次の通り。
アゼルバイジャンとアルメニアの指導者が和平協議を再開する。関係者によれば、欧州連合(EU)のミシェル大統領は、アゼルバイジャンのアリエフ大統領とアルメニアのパシニャン首相との会合を5月14日に主催する予定だ(注:この報道の通りの日程で首脳会談は実施された)。
2020年の全面戦争が不安定な停戦で終わった後、数百人が断続的な衝突で死んだ。EU、米国、ロシアは、それ以来長期的和平協定を仲介しようとしたが、失敗した。両国はソ連崩壊後、係争地ナゴルノカラバフの支配をめぐって争ってきた。アルメニア人多数派の地域は2020年にアゼルバイジャンにほぼ占領される前にはアルメニアが支配していた。
アリエフの外交補佐官ハジエフは「アゼルバイジャンはミシェル大統領の仕事に安心している、EUには隠された目的はない」と述べ、EUプロセスは交渉とその構造に「重要な概念」を発展させたと付け加えた。
和平協議はアルメニアとナゴルノカラバフを唯一結ぶラチン回廊に、アゼルバイジャンがチェックポイントを設置する決定をしたことに焦点が当てられそうである。また協議では国境の画定、捕虜交換、地雷の撤去の討議も行われるだろう。
アルメニアはアゼルバイジャンがナゴルノカラバフへの食糧や医薬品を止めるためにチェックポイントを使っていると言い、アゼルバイジャン側は武器が密輸されるのを防ぐ必要があると言っている。ハジエフは「自己の領土の規制はどの国でも普通にある。道路は開かれているが、不法な貨物には閉じられている」と述べた。
EU主導の努力はその広い隣接地域でのEUの力とモスクワの歴史的影響力への挑戦のテストである。ロシアは2020年の停戦を仲介した後、ナゴルノカラバフに平和維持軍として2000名の軍人を駐留させている。
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アルメニアとアゼルバイジャンの両国はナゴルノカラバフをめぐってソ連崩壊で両国が独立した後、長い間ずっと争ってきたが、最近ようやく両者が諸懸案に解決策を見出すべく話し合いが進んできている。南部コーカサスに平和が戻る見通しが出てきていると判断して良いと思われる。まだ状況を見る必要はあるが、歓迎すべきことである。