2024年12月13日(金)

プーチンのロシア

2023年9月8日

 今やロシアの崩壊は世界の論壇で公然と語られている。一つには今の状況がソ連の崩壊に似て来たからだ。

 カナダの専門家ディアーヌ・フランシス女史は2023年6月「ロシアは崩壊する」と題する論文(’Russia will collapse’ DIANE FRANCIS, June 15, 2023)でこう論じている。「1979年のソ連・アフガン戦争はアフガニスタンを破壊し、ソ連を崩壊した。今日ロシアは、財政は破綻し、経済は低迷し、軍備は低下し、名誉は毀損され、少数民族出身の兵士は大砲の餌食に供され、民族国家の分離主義運動は急速に拡大している。要するにロシアは崩壊に向けて突進しているのだ」

(iSailorr/Benjamin_Lion/CrazyD/gettyimages)

 ウクライナ侵略がロシア自身にもたらしている非常事態とその深刻さについて既に綿密に報道されているが、公けになっていないもっと深刻な事情が沢山あるに違いない。1991年のソ連崩壊の事例に徴しても、今やロシアの崩壊を想定しない訳にはいかない事態だ。そして識者が論じている崩壊のシナリオは深刻なものだ。

 事態がどのように進むのか? ロシアはどこに向かうのか? そして結局ロシアはどういう国になるのか? 

 ロシアの指導者が変われば事態はより残酷になるとする議論もある(’Will Putin’s Successor Be More Flawed, Brutal and Inept?’, Ksenia Kirillova, August 17, 2023)。米国外交問題評議会のリアナ・フィックス女史とジャーマン・マーシャル基金のマイケル・キメージ研究員はフォーリン・アフェアーズ誌の最近号で、ウクライナ戦争が終結し、ロシアの権威主義が弱体化するというシナリオを望むが、最悪のシナリオにも備え、西側は慎重で注意深い対応をして行くべきだと論じている(’The Beginning of the End for Putin?’ Liana Fix, Michael Kimmage, Foreign Affairs, August 2023)。核兵器の扱いなどもその一つだろう。

多数の民族国家へ分裂の可能性

 これまでの経緯からすると、熾烈な権力闘争、連邦の分裂、内戦の勃発、経済的な破綻、そして中国への従属。その方向で事態が進行することは十分にある。連邦の分裂はロシアが世界最大の多民族国家であることに鑑みれば非常にあり得ることだ。

 プーチン大統領が権力の座を去る場合、ロシア国内で権力闘争が始まるとされている。あらゆる種類の争いだ。

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