ウクライナ戦争はいつまで続くのか。戦況を見ると、ロシアとウクライナともに断続的な攻撃が続けられ、どちらも引く様子は見られない。停戦に向けた交渉についても、ロシアのプーチン大統領が制裁を科す西側諸国に向けて揺さぶりをかけているものの、本格的な交渉へとつながる予兆はないようだ。
そんな中、ロシア経済および財政においては、「限界」とも言える時期が見通せる状況となりつつある。ウクライナ侵攻後のロシア経済は、財政支出によって下支えされているが、そうした財政支出の維持・拡大に必要な国の貯金に、底が見通せる状況となってきたのだ。以下では戦時下のロシア経済の実態を財政から見ていきたい。
財政によって下支えされた22年のロシア経済
ロシアの2022年の実質国内総生産(GDP)成長率は、▲2.1%だった。マイナス成長となったのは20年以来2年ぶりだ。ただ、その要因を見ると、大きな違いが出ている。
15年や20年といった過去のマイナス成長の年には、個人消費や総固定資本形成(建物や機械設備への投資)といった内需の落ち込みが主因となったが、22年のマイナス成長の主因となったのは、輸出の過去最大級の落ち込みだ。西側諸国の経済制裁により、ロシアの石油や鉄鋼、木材の輸出が減少し、また、ロシアが欧州向け天然ガス輸出を削減したことで、ロシアの輸出は数量ベースで前年比13.9%減少。22年の経済成長率(▲2.1%)に対する輸出の寄与度は、マイナス4.2%ポイント(Pt)にも達した。
一方、内需に目を転じると、22年は個人消費の成長寄与度はマイナス0.7%Ptと小さく、総固定資本形成の寄与度は0.6%Ptのプラスとなっており、内需は総じて堅調に推移したと言える。
内需が堅調に推移しているのであれば、ロシア経済に問題は無いかというと、そうとは言い切れない。22年の内需の堅調さは、財政支出の増大によって支えられた側面が強いからだ。