このジョーンズの「警告」は、タイムリーかつ重要だ。トランプが次の米国大統領になれば、最初にやることの一つが、対ウクライナ支援の停止である可能性はそれなりに有るし、ウクライナ自身もロシアも、それに気付きつつある。
現在の米国議会での動きも、それをある程度念頭に置いたものだろう。そして、残された時間は余り無い。
というのも、来年の大統領選挙本番は11月だが、その前の共和党候補選びの段階で、ある程度先が見える可能性があり、共和党候補選びは、早ければ、3月5日のスーパーチューズデイ、遅くともトランプの唯一の実質的な対抗馬であるデサンティス出身のフロリダ州を含む大中4州の予備選が行われる3月19日には片が付いてしまう可能性があるからだ。そうなると、その後は、11月の大統領選挙での優勢を確保するためのトランプ劇場再演の可能性がある。
ウクライナ支援の停止ないし削減の声が上がる背景には、国際社会の雰囲気もある。それは、援助疲れだけでは無く、ウクライナ戦争による食料供給ひっ迫と価格高騰は、グローバル・サウスの国々の経済に幅広くマイナスの影響を与えている。
今年の国連総会には、ウクライナのゼレンスキー大統領が出席したが、そのスピーチは、「更なる支援」を求めるものでは無く、国際社会の「団結維持」を訴えるものだった。安全保障理事会特別会合でのスピーチでは、ウクライナ独立直後の1991年時点の国境までロシア軍とロシア艦隊が完全に撤退することを含む和平提案を行った。
この提案は、先の主要20カ国・地域(G20)で同大統領が行った10項目和平提案と同様、現実的にはロシアが受け入れる可能性はないが、国際社会に対して停戦努力をしているということを示さなければならないと感じているのだろう。
中露はさらなる結束見せる
このような中、モスクワで行われた中国王毅外相との会談で、プーチン大統領は、中国側の招待を受け、10月の「一帯一路首脳会合」に合わせて訪中するとロシア側が発表した。これは、ロシアのウクライナ侵攻直前の2022年2月に北京で行われた首脳会談以来の訪中だ。
ロシアが求めるものは明らかだし、露朝首脳会談の説明もあるだろうが、中国は何を得られるのか。最近、プーチン大統領とロシアの影響力は落ちつつあるようだ。7月のロシア・アフリカ首脳会議に参加した
首脳の数は17カ国にすぎず、ウラジオストクでの東方経済フォーラムには外国首脳の参加は無かった。
なお、この記事が指摘するように、米国には関与を「躊躇する余裕は無い」。台湾を巡る紛争への関与は、中国との今後の戦略的競争への影響とアジアの同盟国の視線を踏まえれば不可避である。
その様な事態に陥らないためにも、ウクライナへの支援中止とその敗北を受け入れることは出来ないはずだ。