2024年4月12日(金)

21世紀の安全保障論

2023年10月5日

 9月12~17日にかけて行われた北朝鮮の金正恩総書記によるロシア訪問は、13日に極東ロシアのボストチヌイ宇宙基地で行われた露朝首脳会談も含め、ワシントンでも大きな話題となった。といっても、今回の訪露が突然、実現したわけではない。

金正恩総書記によるロシア訪問は、バイデン政権も動静を注視している(代表撮影/AP/アフロ)

 金総書記の訪露は、7月27日に朝鮮戦争休戦70周年を記念して平壌で行われたいわゆる「戦勝記念日」パレードにロシアのショイグ国防相が出席したから既にささやかれはじめていた。というのも、ショイグ国防相の訪朝自体が注目を集めたからである。

指標となる軍事パレード

 露朝関係は、2014年以降、若干、緊密化の兆しが見えてきていたとはいえ、旧ソ連時代に比べれば、特に軍事関係についてはかなり希薄になってきていると言われてきた。今年7月の「戦勝記念日」パレードをはじめ、建国記念日パレード、建軍記念日パレードなど、北朝鮮は何かというと理由をつけて軍事パレードを行うのが大好きで、これらの軍事パレードに誰が出席するのか、どのような兵器が展示されるかが、北朝鮮の動向についてキャッチする重要な手がかりとなるため、特に東アジア安全保障ウォッチャーの間では注目を集める。

 例えば、08年の建国60周年パレードに金正日総書記(当時)が姿を見せなかったことは、当時噂されていた同総書記の不健康説を裏付ける証拠の一つとして受け止められたし、その3年後に行われた11年の建国63周年パレードに金正恩氏が金正日総書記と一緒に登場したことで、金正日総書記の後継が金正恩であることが実質的に内外に示された形となった。

 また北朝鮮の軍事パレードにどの国が代表団を送るかも注目される。ただ代表団が送られるか否かだけではなく、首席代表の「格」も、これらの国が北朝鮮をどうみているかを知る重要な手がかりになるからだ。

 北朝鮮にとってこれほど大事な意味を持つ軍事パレードだが、これまでロシアは、あまり格の高い代表団を送ってこなかった。例えば、今回ショイグ国防相が出席した「戦勝記念日」パレードは、冷戦後の1993年に、戦勝40周年を記念して初めて行われ、2013年の第2回パレードを経て、今年が10年ぶり3度目の開催となるが、過去のパレードには、ロシアが代表団を送った形跡はない。また、このようなパレードにはほぼ欠かさずに代表団を派遣する中国も、代表団のナンバー1は李鴻忠・全国人民代表大会(全人代)常務委員会副委員長が務めたが、閣僚級というほどのインパクトはない。


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