この論説の筆者ガネシュは、英国のエコノミスト誌の記者をした後、フィナンシャル・タイムズ紙の政治論説員をしている人である。かなりしっかりした論説の書き手である。ガネシュはそれなりの取材もしてこれを書いたものと思われる。
彼がトランプ第2期政権の外交政策としてありそうなこととしているものはそれぞれ今までの米国の政策を大きく変えることであり、今の国際情勢を大きく変えることになる。
米国のウクライナ支持が規模的に小さくなるだけでも大きな影響があり、違法な侵略者であるロシアを利することになる。また、NATO、日米安保条約や米韓条約への米国のコミットメントの信頼度が下がるだけでも、われわれは困った状況に置かれることになる。
日本周辺の安全保障環境は、中国の軍備拡張、ロシアと北朝鮮との軍事協力の拡大、台湾をめぐる情勢で、厳しさが増している。トランプが当選するようなことがあった場合は、日本も、米国の変化を踏まえて、その外交防衛政策を真剣に再考する必要があるように思われる。
トランプ当選は現実性があるのか
米大統領選については、トランプは共和党の候補には指名されるだろうが、本選挙ではバイデンが無党派層の支持も得て勝つと今のところ見ておいてよさそうである。ただ、世論調査ではトランプ勝利との結果になっているものも出てきている。
先日退任したミリー統合参謀本部議長について、トランプは最近「処刑されるべき」と述べた。この発言だけをとっても、トランプは正常な良識のある人間ではない。
彼が米国民の多くの支持を集めていることはカルト現象だと言う人が多いが、小集団のカルト現象はそれなりに理解できるが、国家規模ともいえる米国の有権者の多くによるカルト現象は理解しがたい。