県をまたぎ連携、地方紙もバックアップ
ツール・ド・九州の主催者によれば、開催の理由は「2019年ラグビーワールドカップに続くスポーツのビッグイベントを開催すること、環境にやさしく新たな観光を導くサイクルツーリズムを推進することなどを目的とした」という。主体は、九州経済連合会という九州経済連合会という九州各県による経済団体だ。そのなかから手を挙げた福岡、熊本、大分で開催されることになった。
メインのスポンサーは人材会社のマイナビが務めた。大会のコンセプトである「Make Kyushu Sustainable(持続可能な九州へ)」に賛同し、県を超えた広域の取り組みであることが評価されたという。
では、実際の観客動員はどうだったのか。主催者の数字は次のとおりだ。
小倉:1万5915人
福岡:3万3238人
熊本:1万1636人
大分:2万6946人
合計で7万人弱の観客という計算だ。ほかにも、設置会場のチャチャタウン小倉に1万1500人(四日間)、ソラリアプラザ天神(三日間)に2万5000人、道の駅阿蘇にも1日で4761人が訪れたという。
西日本新聞、熊本日日新聞、大分合同新聞という三県の地方紙が共催に入ったことで、事前と事後の報道はかなり手厚い印象だった。筆者が生でレースをみたのは、福岡ステージの最後のところだったが、地元出身の児島選手の地元だけあって、大勢の観客が集まった。1時間以上待っていた人も多かった。
選手たちがあっという間に走り去ってしまうので、スポーツ観戦としては難しいところもあるが、地元の人たちからは初めて見る自転車レースに対して、「驚くほど速かった!」「かっこいい!」という感動が伝わってきた。
経済効果は出せたのか?
死亡事故が起きたツール・ド・北海道のことが誰の頭にもあった。主催者も気を遣っていたのか一般車両のコースへの侵入は厳しく管理していた。スタッフ7000人(累計)に加えて、ボランティアのセーフティーマーシャル(コースの安全管理人員)2500人がかなりしっかり配置されていた。コースの道路を歩いて横切ろうとした筆者も厳しく制止されるなど、安全意識の強さが感じられた。
肝心の経済効果についてだが、事前に日本政策投資銀行九州支店は、その経済波及効果が30億円になるというレポートを発表していた。ただそれは想定観客総数を12万4000人とするもので、合計で10万人に届かなかった今回の人数からすると、もちろん到達はできなかっただろう。さらにこの試算は宇都宮のジャパンカップの宿泊率47.5%を元に算出されているが、今回の宿泊率はそこまで高いものではなかったはずである。