2024年12月7日(土)

都市vs地方 

2023年10月27日

 いわゆる大阪万博は今から1年半後の2025年4月から10月まで開催の予定だが、今になって会場建設費が当初の2倍近くになるとか、万博の花とも言われる各国が独自に建設するパビリオンが少ないなど問題が出てきた。

建設中の大阪万博2025会場。開催までの完成が危ぶまれている(2023年10月12日、AFP=時事)

 オリンピック(五輪)は都市が開催するのに対し、大阪万博は国、大阪府・市、経済界の3者が協力して経費を負担する。それなのに今回は建設の工期その他をめぐって経済界の一部から批判や疑問が出されるなど不協和音が表面化した。

万博の原点は産業革命

 もともと万博の原点は、1851年のロンドン国際博覧会で、このときは40を超える国の産品が陳列され600万人を超える入場者を集めた。当時、産業革命の先陣を切っていた英国だからできたことである。

 これに対抗してパリは1867年、住宅・衣類・鉱工業など部門別の展示を充実するとともに万博に文化性を加味した。このとき幕府はナポレオン3世の要請に応え、和紙・衣服・陶器その他を出品した。このような万博の産業プラス文化といったイメージは1873年のウイーン万博を経て国際的に定着した。

 1970年大阪万博は太陽の塔に象徴される高度経済成長の成果を謳歌する華やかな万博となり6800万人という、日本の人口の半分を超す人を集めた。2025年万博でも空飛ぶ車等、技術革新の成果が期待されている。

 このような万博の意義を考えると、今からでも遅くない、経済界から苦言が出る万博運営でなく、経済界がリードする万博に転換すべきだ。そのほうが内容にも期待できる。


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