2024年5月17日(金)

都市vs地方 

2023年10月27日

大阪万博の延期や中止はありうるのか

 大阪万博の延期はありうるか。世界的な原材料価格の高騰や技術労働力の不足という事情はあるのだから、半年程度の延期はあるかも知れない。それによって記載内容が充実すればよいだろう。

 博覧会条約に基づく厳しい手続きは必要となるが、前回のドバイ万博は新型コロナウイルスで1年延期され、それによって大阪万博との間隔が短縮される結果となっている。半年延期なら、次の万博(5年ごと)との間隔への影響も少ない。

 中止はありうるか。大阪万博は国家間の約束でもあるから、工事の遅れ等の理由で中止することはできない。1996年開催予定だった東京の世界都市博覧会は前年の95年に中止を決定したのは、博覧会条約に基づく博覧会ではなかったから中止できた。中止に追い込まれたのは、都知事選挙の争点となり、都市博中止を訴える候補が当選したからである。

 都市博を推進した鈴木俊一氏は内閣官房副長官を務めたあと、「オリンピック知事」と言われた東竜太郎氏の副知事を8年間務めた。その後1970年大阪万博事務総長を経て、79年に都知事に就任した。鈴木知事は3期目に入った88年ころから盛んに臨海部で世界都市博覧会を開催しようと言い始めた。

 筆者はそのころ都庁で生活文化局の企画課長や総務課長を歴任していたが、生活文化局は知事から要求されて博覧会開催の検討を始めていた。都庁の各局は、ロンドン、ニューヨークと並ぶ世界都市になった東京をアピールすることに異議はないが、交通機関が整備されていない臨海部に人を集めるのは無理だと考えていた。しかし鈴木知事は作家で経済企画庁長官なども務めた堺屋太一氏らと会うたびに開催に傾き、任期4期目に入って94年開催を決めた。


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