2024年12月14日(土)

Wedge2023年9月号特集(きしむ日本の建設業)

2023年8月19日

 猛暑が続いている。工事現場では、安全のため暑い夏でも半袖は厳禁だ。夏場は左右の脇腹にファンのついた「空調ジャケット」を着ることが定番になった。だが、「35度を超えると、ドライヤーの熱風を浴びているようだ」と技能者(職人)の一人が教えてくれた。

(RICHARD NEWSTEAD/GETTYIMAGES)

 ニュースでは連日、キャスターや気象予報士が「猛暑日なので、不要な外出は控えてください」と呼びかける。そんな過酷な状況の中、家族のため、夢のため、住宅ローン返済のため……、さまざまな思いを持った人たちが働いていた─。

 そんな現場をよそに、エアコンが効いた快適な〝会議室〟では建設業界の働き方改革の検討が進められている。2024年4月を前に、建設業界が慌ただしいのはこのためだ。19年に施行された時間外労働の上限を定める改正労働基準法が、5年間の猶予期間を経て遂に適用される。上限を超えた場合は、使用者に対する罰則規定もある。

 今年3月に行われた斉藤鉄夫国土交通大臣と建設業関連団体の意見交換会では、働き方改革の推進が主要テーマとなり、全ての関係者が週休2日(4週8休)の確保をすることなどにより、工期の適正化に取り組むことも申し合わされている。

 国交省の担当者は、「厚生労働省と連携して働き方改革を進めることで業界全体の底上げを図り、建設業の魅力向上と担い手の確保につなげたい」と意気込む。

 たしかに、建設業の働き方はハードだ。国交省の公表資料によれば、全産業と比較して、21年度の年間の出勤日数は12日多く、総実労働時間は90時間長い。また、4週8休以上の休日が取得できている労働者の割合は約9%で、他方、4週5休~4週4休程度と回答した人は合わせて35%を超える。


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