2024年5月4日(土)

Wedge SPECIAL REPORT

2023年7月27日

 一目見て莫大な発電量を担う施設であることが理解できた。そこには、高さ200メートルの巨大な煙突が2本そびえ立つ。

奥に見える1・2号機の煙突には、作業員がらせん階段を上って、点検することがある(WEdge以下同)

 6月1日、JR桑名駅から伊勢湾を臨む臨海工業団地の方面に約20分車を走らせ、小誌記者が訪れたのは、国内火力発電最大手・JERAの川越火力発電所(三重県川越町)。目的は電力の安定供給を支える火力発電所で働く人々の思いや苦労を知ることだった。

 川越火力の特徴は二つの意味で〝世界最大級〟であることだ。一つは総出力約480万キロワットを誇る世界最大級の液化天然ガス(LNG)火力発電所だということ。東京ドーム27個分に匹敵する124万平方メートルの敷地内には、合計84万立方メートル(㎥)ものLNGを貯蔵できるタンクが全部で6基あるほか、気化設備から発電プラントまで備わっている。もう一つは、世界最大級のLNG船を受け入れ可能な発電所であるということだ。

 記者は今回、特別な許可を得て、普段ならメディアが足を踏み入れることができない全長約500メートルものLNG桟橋内に加え、その先の船からLNGを受け入れる最前線のエリア「ワーキングプラットフォーム」に入った。そこには高さ約20メートルのローディングアームと呼ばれる装置が立ち並ぶ。船上の配管と陸上の配管を接続し、発電所内のLNGタンクに貯蔵するのだ。

海の潮位によって高さが変化する中、慎重にローディングアームの接続作業を行う。最盛期には年に60隻近くが訪れた

 川越火力では1997年に初めてLNG船を受け入れて以降、今年5月末までに累計1276隻を無事故で受け入れ、LNGの総量は8000万トンにも及ぶ。


新着記事

»もっと見る