2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年10月7日

●米海軍の造船計画に十分な資金を出すこと。ただし他軍種を犠牲にしてはならない。
●研究開発に投資すること。
●同盟国との関係を強化すること。欧州と違い、アジアは軍事費を増やしている。クリントンはアジア重視であったが、ケリーもそうすべきである。
●台湾を招請する場合や中国が自分の演習に招請する場合以外、中国へのリムパック参加招請を取り消すこと。中国はそこまで信用できない。

 米国は、中国の挑戦を認識する必要があり、自己欺瞞や幻想に陥るのは害をなすだけである。こういう状況の中で、強制予算削減が行われていることは問題である。「一つの大洋しか制覇できない海軍」しか持たないことになりかねず、二流の海軍しか持てないようでは、米国は一流国にはなれない、と論じています。

* * *

 この論説は、中国海軍の増強に対し警告を発し、米海軍の造船計画を資金面で支えること、研究開発を進めることなどを提言しています。しかし、問題の本質は、予算が限られている中でで、優先順位を考え、選択していかざるを得ないところにあるのですが、そのことを十分に論じているとは言えません。

 ただ、論者としては、そういう現実を前提に論ずるよりも、中国海軍増強に警告を鳴らすことを重視しているのであろう。それはそれで理解できることです。

 自己欺瞞などに陥るな、との警告は、心に留め置くべきことでしょう。また、リムパックへの中国招請撤回論は、最近の中国海軍の威圧的な行動に鑑み、適切な論であると思われます。

 尖閣周辺での中国公船の行動は目に余りますし、スカボロー礁では護岸のための資材を持って来ているとのことです。中国に対し、同じ問題を抱えている国で協議をしたら良いでしょう。尖閣の問題と南シナ海での問題は同根の問題であり、同根の問題には共同で対応するのが適切です。

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