2024年7月20日(土)

21世紀の安全保障論

2023年12月14日

 戦い方が違えば部隊の編成も異なる。海兵連隊は歩兵、砲兵といった単一の戦闘職種で編成され、戦闘時には他の部隊(防空、航空、後方支援など)から支援を受ける。一方、海兵沿岸連隊は歩兵、砲兵(地対艦ミサイル)、防空、後方支援などの多職種で編成される部隊である。

 その人員規模も海兵連隊(歩兵)の約3400人に対し、1800から2000人と小規模になる。このため、海兵沿岸連隊は海兵連隊に比べてコンパクトだが独立して戦う能力が高く、突発事態への即応性も高い。

いつ、どこで、どのように戦うのか

 台湾を巡る米中間の有事に際して第12海兵沿岸連隊が戦うのは、中国軍の台湾への武力侵攻が切迫、または生起した時であろう。その場合に同連隊が展開する場所は、東シナ海や台湾付近で行動する中国軍を牽制し、中国軍の西太平洋への展開を妨害できる南西諸島内の島嶼であり、中でも台湾に近い八重山諸島は有力な場所になる。

 なお、同連隊は米軍が主導権を取り戻すまで、島嶼内あるいは他の島嶼への頻繁な移動によって位置を秘匿して中国軍による発見・攻撃を回避しながら、中国軍の水上艦艇や航空機に対する攻撃を続けることになる。また、中国軍が島嶼への着上陸を図る場合には、これを撃退して島嶼を守ることになる。

在沖縄米海兵隊の課題

 従来、在沖縄米海兵隊にとっての沖縄は、他の地域での作戦に赴くための拠点であった。しかし、第12海兵沿岸連隊の創設により、在沖縄米海兵隊にとっての沖縄は、そこで戦い、守り抜く場となった。ウクライナ戦争において、当初は劣勢とされていたウクライナ軍が善戦している背景の一つに多くの国民からの支持と協力があるように、地域を守る部隊としては、平素から地域を熟知し、地域住民から支持と信頼を得ていることが強みとなる。

 しかし、これまで沖縄での戦いを想定していなかった在沖縄米海兵隊と地域との関係は希薄だ。現在の米海兵隊の部隊展開計画(Unit Deployment Program)では、隊員が6カ月毎にローテーションで入れ替わる。これでは隊員が地域を熟知し、地域住民からの信頼を得ることは難しい。その上、沖縄戦の記憶や海兵隊員の犯罪の影響で、在沖縄海兵隊に対する沖縄県民の感情は良いとは言えない。

 したがって、在沖縄米海兵隊にとっては、部隊展開計画の再検討と共に、地域との根本的な関係改善が課題となる。そのためには、海兵隊員は積極的に地域住民や自治体と交流し、意思疎通に努め、文化、習慣、暮らしを理解し、地域に貢献せねばならない。これらは、本来は外征軍たる米海兵隊にとって異質の活動であるが、地域を守る部隊には不可欠であることを在沖縄米海兵隊の全隊員が理解する必要がある。


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