2023年もまもなく終わろうとしているが、今年、中国で印象的な出来事といえば、習近平国家主席の3期目がスタートしたこと、李克強前首相が急死したことなどが挙げられる。これらに加えて、米中対立、台湾問題などがあるほか、日本との関係でいえば、中国からの団体旅行客の解禁、福島第一原発の処理水問題で中国が日本から水産物の輸入を禁止、といった話題もあった。
中でも、1年を通して多く取り上げられたのは不動産不況をはじめとする中国国内の経済の悪化だ。そんな中国の現状を若者たちはどう考えているのか。2024年に展望はあるのか。中国に住む人々に意見を聞いた。
売上減を嘆く事業者
「景気は悪いなぁと感じますね。DiDi(滴滴(ディーディー)=中国の配車サービス)を呼ぶとすぐにくるので、きっと暇なんだろうな、と思います。職を失って、慣れない運転手を始めた人も多いですね。DiDiに乗ると、たいてい運転手と景気の話になりますが、みんな渋い顔をしています」
こう語るのは上海在住の20代の男性だ。メーカーに勤務しているこの男性は、ときどきDiDiを利用する。料金は高くないが、それさえ乗らず、地下鉄を利用して節約する知人が増えたと話す。
また、この男性は出張で地方都市に行くことが多いが、企業によっては出張を制限しているところもあり、高速鉄道に乗っても、空席が目立つ日もある、と話す。地方都市に行くと、さらに景気の悪化を実感させられることが増えたという。
「先日、出張で西安に行ったのですが、地元の屋台の人が『今日の売り上げは200元(4000円)しかなかった。この仕事を始めて、こんなに売り上げが少ないのは初めてだ。この先どうしたらいいのだろう……』と言っているのを偶然耳にしてしまったんです。
屋台の料理は安いので、お客さんが少ないとやっていけません。都市によって異なるので一概にはいえませんが、景気の悪さは想像以上で、全国規模に広がっているのではないかと感じます。ゼロコロナが完全に終わった今年に入ってから、景気の悪さをひしひしと感じますね」