2024年7月21日(日)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2023年10月4日

 9月29日から中国で国慶節の大型連休がスタートした。早速、日本メディアは「ふたを開けてみれば日本が一番人気」「処理水の影響は限定的だった」などと報道し、東京・銀座の百貨店や回転寿司店の店頭などで中国人観光客にインタビューしている。ほぼ事前予測は「外れた」といっていいだろう。

国慶節による大型連休で、多くの中国人観光客が日本にも訪れた(新華社/アフロ)

 筆者も「この大型連休中、中国人観光客は戻ってくるのか」といった質問を複数のメディアから受けたが、正直答えることは難しかった。それは、これまで以上に中国人の志向は多様化、細分化しており、大括りでの「中国人の行動」をあらかじめ予測することは困難になっているからだ。

 もちろん、メディアの立場は十分理解できるし、筆者も毎回、「切り口」を考えて記事を書いている一人だが、「今年の旅行のトレンドはこれ」といった単純な表現自体、複雑さを増した中国人にはもうそぐわないと感じている。

 なので、「日本人が想像する以上に、中国にはピンからキリまで〝いろいろな人〟がいるので、処理水の問題を気にする人は来ないし、気にしないで来る人も大勢いる」と回答したが、「それでは記事にならない」と思われたりした。しかし、9月29日以降、報道された日本メディアの国慶節関連のニュースや記事を見てみると、多くが「周回遅れ」の報道になっており、トレンドを追うどころか、2019年に見かけた既視感のあるもので、いろいろと考えさせられた。

コロナ禍前からあった中国人のコト消費

 コロナ禍前の19年、中国人観光客は過去最大の約959万人に達し、1000万人を目前としていた。全外国人観光客(約3188万人)の約3分の1を占め、彼らの志向は「モノ消費(爆買い)からコト消費(体験型)へ移行している」と報道された。

 14年頃から中国人のインバウンドについて取材してきた筆者は、15年に流行した「爆買いブーム」以降、16年頃にはすでに一部のトレンドリーダーたちの間で「コト消費」が始まったと感じていた。

 コロナ禍直前の19年の時点で、団体旅行客よりも個人旅行客が大幅に増加。中国国内で日本の商品をネットで気軽に購入できるようになったこともあり、個人旅行客の「爆買い」への興味は薄れ、コト消費はさらにスピードアップしたと感じた。

 しかし、コロナ禍が始まり、中国人の海外旅行はほぼ全面ストップ。日本に来ることもなくなり、日本メディアが中国人観光客のトレンドを紹介することもなくなった。

アフターコロナの観光の現状と課題を伝える「特集:コロナ後の観光 今とこれから」の記事はこちら

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