2024年7月18日(木)

World Energy Watch

2024年1月19日

戦争とエネルギーの歴史

 戦争は、エネルギー供給にもしばしば影響を与えてきた。第一次世界大戦時に認識されたのは、航空機、軍用車両の燃料として利用された石油の重要性だった。産業、家庭では産業革命以来石炭が利用されていたが、軍事用に石油の確保が重要課題になり日本が太平洋戦争に踏み切る一因にもなった。

 戦後1950年代まで、日本、西欧州諸国のエネルギー供給の中心は石炭だった。日本では傾斜生産政策により、欧州では欧州石炭鉄鋼共同体により、石炭と鉄の生産が国の重要政策課題になった。

 50年代からの戦後復興と60年代の経済成長により急増した日本と西欧のエネルギー需要を支えたのは、中東から産出される価格競争力のある石油だった。

 73年の第4次中東戦争が引き金となった石油危機により、石油に依存していた主要国は供給、価格面でエネルギー分散の必要性に直面し、原子力、天然ガス、石炭に供給を分散した。

 その結果、石油からのエネルギー源の分散が進み石油への依存度が下がった。とはいえ、現在日本をはじめとしたエネルギー多消費国は一次エネルギー供給の8割前後を化石燃料に依存している。欧州諸国は、天然ガス需要量の半分弱、石油、石炭需要量の約4分の1を世界最大の化石燃料輸出国ロシアに依存していた。

 欧米日はロシアに戦費を渡さないためロシア産化石燃料の輸入量の削減に乗り出した。ロシア依存度が高い欧州連合(EU)は、脱炭素もあり脱ロシア産化石燃料を急いでいる。

欧州の脱ロシアはほぼ実現したが

 ロシアのウクライナ侵略後、EUはロシアからの化石燃料輸入量削減を進め、ロシアは欧州諸国が先に音を上げるようにEU向け輸出量の削減に乗り出した。

 その結果は、石炭、天然ガス価格の大きな上昇だったが、価格上昇も覚悟の上だったEUは22年8月にロシア産石炭、22年12月に船舶によるロシア産原油、23年2月にロシア産石油製品の輸入を禁止した。

 EUのロシア産化石燃料輸入量は禁輸措置によりロシア侵攻1年後の23年3月には大きく減少した(図-1)。ロシア産原油の輸入量も大きく減った(図-2)。


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