2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年11月4日

 オバマ大統領は、アジア政策に再投資する必要がある。今後数ヶ月は、今回の訪問中止が米国・アジア関係の長期的後退に繋がるかどうかを決定づける大事な時期となろう、と述べています。

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 上記3つの提案は、極めて現実的、具体的であり、オバマ政権がこの線に沿った政策を実施することを希望します。

 もともとオバマ大統領のアジア訪問にはあまり期待していませんでした。

 オバマ政権は、中国との関係においては、6月カリフォルニアで、2日間8時間の対話をしながら何の成果もありませんでしたが、その後も中国との対話を呼びかけ続けているだけです。

 日米の「2+2」の記者会見における質疑応答では、ケリー国務長官は「米国は、中国と密接に協力し、法の支配を見出す、あるいは、対話を見出すことによって、南シナ海…などの問題について中国と協力している」と述べています。

 たとえオバマ大統領が会議に出席したとしても、これ以上の事は言わなかったであろうと推測されます。それならば、外では中東問題、内では政府閉鎖問題にだけ係って、アジア訪問を中止しても、あまり実害はなかったように思います。

 ただ、この論文の提案は建設的です。APEC、ASEANの会議の途次の訪問でなく、日本、韓国、フィリピンなどを特に訪問することは、アメリカのアジアに対するコミットメントを象徴することとなります。TPPの推進も、東アジア関係の国防費の維持強化も、具体的かつ効果的です。しかも、それらは、今回の訪問中止で失われた東アジア諸国の信頼を回復するためという大義名分もあり、日本外交の目標としてアメリカに働きかけても少しも不自然ではありません。

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