2024年11月25日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年11月5日

 中国で民間部門の積極的参入を促すためには、組織的、構造的変化を伴う改革が必要である。同時に次世代の技術者育成のための長期計画を立てるべきである。そうすれば海外から人材を呼び込むこともできる、と述べています。

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 宇宙開発で中国が米国に追いつき、追い越すかもしれないとの見方が行き過ぎであるというのは、論説の言う通りでしょう。

 しかし、中国の宇宙開発の今後を過小評価すべきではありません。それは、宇宙開発には軍事的側面があるからであり、中国は国家戦略として、宇宙空間とサイバー空間を新たな戦域と位置付けています。したがって、中国政府が、今後とも最優先事項の一つとして強い意欲を持って宇宙開発を推進していくことは確実でしょう。

 論説が指摘する通り、イノベーションが重要であることは明らかですが、コピー、そしてリバース・エンジニアリングの有用性も無視できません。必ずしも米国を追い越さなくても、十分に脅威となり得ます。中国は今後とも米国、ロシアなどの宇宙先端技術の導入に努めると共に、サイバーなどでその技術を盗むことにも力を入れると思われます。

 日本も、宇宙基本法を制定し、宇宙開発戦略本部を設置し、宇宙の平和利用について、かつての「非軍事」から、「宇宙空間に攻撃的兵器を配備しない」という国際的常識に沿った解釈に改めています。好むと好まざるとにかかわらず、宇宙空間が戦域であることを認識し、宇宙開発を国家安全保障の観点で位置付ける必要性が増しています。

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