2024年12月13日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年11月5日

 インドのシンクタンク、オブザーバー・リサーチ財団上席研究員のラジャゴパラン(Rajeswari Pillai Rajagopalan)らが、10月2日付でDiplomat誌ウェブサイト掲載された論説で、宇宙開発で中国が米国に追いつこうとすれば、政府の大規模な予算に頼ることなく、民間部門の積極的参加を促し、イノベーションを推進する必要がある、と述べています。

 すなわち、宇宙開発で中国が米国に追いつき、追い越すかもしれないとの見方があるが、それは行き過ぎで、警鐘を鳴らすのは早すぎる。

 もちろん、中国に宇宙開発の強い意欲があることは間違いない。しかし、中国の宇宙開発の一番の問題は、民間商業部門が弱いことである。

 また、中国は、これまでイノベートせず、コピーしてきた。ロシアのソユーズをリバース・エンジニアリングし、有人宇宙船「神舟」を作ったのはよい例である。

 米国に追いつくにはこのやり方でいいかもしれないが、米国を抜いて一番になるにはイノベーションが必要で、そのためには民間部門が発展しなければならない。これまでは大規模な国家予算に頼ってきたが、中国経済の減速と共に、それに頼り続けるのは難しくなるだろう。

 米国の強みは民間商業部門が強いことである。米国の民間商業部門は、宇宙計画の成功に不可欠な研究開発投資を大規模に行っている。NASAはシャトル計画に代わる新しい計画「有人輸送統合能力」(CCiCap)で、ボーイング他3社と、2015年までに宇宙飛行士を軌道に乗せる商業宇宙船を開発する契約を結んだ。これは米国の国益が、民間の宇宙部門の利益と密接に結びついていることを示すものである。


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