今回の総選挙の隠れたアジェンダは、建国の祖スカルノの娘で自らも大統領を経験し最大与党闘争民主党党首のメガワティとジョコウィの最終バトルではなかったか。陰に陽に政権運営に口出しするメガワティと付かず離れず上手くやってきたジョコウィだが、今回は、メガワティが自身の娘、プアン国会議長の出馬を諦めてまで自党の支持候補としたガンジャールではなく、歴史的にメガワティと根深い対立関係にあるプラボウォに入れ込んだ。
今回の大統領選挙でメガワティの面子は丸つぶれになった。仮に、ジョコウィがメガワティに代わり闘争民主党党首になるようなことがあれば、新たな政治勢力の登場が完成し、ジョコウィの政権への強い影響力は今後も続くだろう。
インドネシアの飛躍は続くのか
最後に、プラボウォ政権の政策がどうなるかだが、現政権と大きく変わることはないだろう。経済では、現政権のいわゆる「下流化政策」(国内資源に国内で付加価値を付ける政策。20年1月以降精錬前のニッケル輸出を禁止しているのが典型例)をさらに強化し、鉱物資源、植物、海洋資源の21分野まで広げるとしていることは要注意だ。
外交では、「中立・非同盟政策」を維持すると言われており、米中仲立ちを主唱するプラボウォは巷間、中国に近いとみられているが、必ずしもそうとも言えない。彼は、国防大臣時代に日本製の武器を調達したいと提案、その際、中国の「脅威」に対する警戒を隠さなかった。彼は、一時は米国と相当近く、いまだに米国のことが「大好き」だ。
プラボウォ大統領の元でも、インドネシアの飛躍は続き、日インドネシア関係も更に緊密化することになるであろうし、そうあるべきだ。
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