日本人口は1967年に1億人を超えて増加を続けており、昭和100年(2025年)には1億4000万人(ミディアム推計)になると予想した。同時に、出生率を引き下げて人口純再生産率を0.96とすると(ミニマム推計)、昭和85年(2010年)まで人口は増加するが、以後は減少に転じることを示した。
1974年7月に民間諸団体が主催して「第1回日本人口会議」が開かれた。そこでは経済成長至上主義が極限に近いところまできていること、量的な拡大ではなく生活の質の向上を目指すべきことが指摘された。そして人口増加を抑え、静止人口を達成するために「子供は二人まで」という国民的合意を得るように努力することが宣言された。当時も産む自由、産まない自由を侵害してはならないという意見はあったが、人口爆発への懸念の方がまさったと言える。
半世紀続く課題に今、解決を
50年前の意識は、現在、世界で取り組んでいる「持続可能な開発」の源流となった。人口の推移も、ほぼ期待とおりに2008年をピークに恒常的な減少に転じた。ただし目標は静止人口の達成である。出生率を反転回復させて静止人口を実現することが、半世紀前から引き継いだ課題であるという視点を忘れてはならない。
人口を減少させ続けて滅亡に向かわせないように、人口が持続可能な社会を実現するとともに、化石エネルギー資源に基礎を置いた産業文明から、再生可能エネルギー資源への転換を図り、時代に見合った国土利用を実現するという文明史的な挑戦なのだ。