昨年4月に公表された国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口(長期参考推計の中位推計)によれば、2100年に日本人口は6278万人まで縮小し、その後も減少が続く。2120年には5000万人を割り込むとしている。6000万人といえば大正末期から昭和初期、5000万人なら明治末期の水準である。
2月末、厚生労働省が発表した2023年の人口動態統計速報によると、出生数が近代統計史上最少の75.8万人となった。想定よりも減少のペースが速く、一段と人口減少が進むことが懸念される。
人口の持続的な縮小は労働人口や消費人口を減らし、経済規模を縮小させる。現在の生産性が維持されたとしても、国内総生産(GDP)は半減するだろう。
人口減少で起きる3つの懸念
国際通貨基金(IMF)の世界のGDPランキングで、日本はこれまで米国、中国に次いで第3位の位置を占めていたが、最新(2024年)の統計ではドイツに抜かれて第4位になったことが話題になったばかりである。単純に言えば、人口が半減する2100年にはGDPも半減して、現在のカナダに次ぐ水準(第11位)まで後退するということだ。
グローバル・サウスと呼ばれる新興国や、移民を受け入れて生産性を順調に向上させている先進国では、今まで以上に経済規模を拡大させるだろう。日本のGDPランキングはもっと後退する可能性が大きく、その存在感が人口減少とともに希薄になることは免れない。
それだけではない。第一に、将来推計が仮定しているように少子化が改善されなければ高齢化が加速する。老年人口は2043年をピークに減少するとされるものの、2020年に28.6%だった老年人口割合は、2100年には40.0%まで上昇すると予測されている。公的年金、高齢者医療、介護などへの影響はより深刻になる。
第二に将来推計では、毎年、16万人以上の外国人の入国超過が続くとしているので、外国人人口の割合は今後、上昇していく。2020年の外国人人口は275万人、総人口の2.2%だったが、2100年には971万人、15.5%まで高まることになる。
これは現在の米国や英国の2倍の水準だ。1000万人もの外国人を受け入れる準備はあるのだろうか。7人に1人が外国人の社会である。どうやってうまくやっていくか。多文化共生の実現なくしてはならない社会になる。