2024年12月27日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年3月14日

 ロシア軍は二つの民族的資源、暖かい身体と冷血な忍耐力を使って、前進している。これがナポレオンからヒトラー、いまに至るロシアの戦争の仕方である。プーチンが兵士を送り続けられるのはロシア人の禁欲主義だけではなく、彼が賢くも兵士をロシアの最も貧しく恵まれない地域から連れてきているからである。

 ナワリヌイの死はプーチンの計算をあきらかにする。彼はエリート世論を気にしない。彼の統制に脅威を与えないからである。何年か前にクレムリン高官は、ある欧州の大使に、百万人以下のデモは取り扱えると述べた。

 米議会が軍事援助を引き続き支持することが重要である。それでウクライナが防衛を固め、戦闘を続けてロシアを阻止することは一種の勝利である。

 この戦争は西側についてのテストである。欧州は米国より賞賛すべき強さを示している。バイデンは、もっとやるべき時である。

 トランプ前大統領の気まぐれに乗ってウクライナを見捨てようとしている議会の共和党については、悲しみを感じるだけである。下院共和党員には、恥をかく前にし っかりすることを希望したい。

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すぐにでも踏み切れる長距離ATACMSの供与

 今年のミュンヘン安全保障会議は、ウクライナ戦争の現状が主たるテーマであったが、この論説は、イグネイシャスがその会議に参加しての感想を書いたものである。戦況はロシア有利になってきている中で、米議会下院が共和党の反対でウクライナ支援措置を可決できていないことについてのイグネイシャスの憤慨が良く書かれている。

 彼の論には賛成できる。米下院の共和党には、しっかりしてもらう必要がある。

 しかし、議会の決議なしにも、バイデンはゼレンスキーが渇望している長距離ATACMSをウクライナに米国の在庫から供与することは大統領権限で出来るはずである。アウディイウカの陥落でウクライナ側が意気消沈している状況を踏まえ、それに踏み切るべきだろう。

 ウクライナ国民の70%以上が領土を回復するまで戦い続けるとしている。ウクライナの士気を高く保つことが何よりも重要である。


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