2024年4月27日(土)

BBC News

2024年3月29日

国連の安全保障理事会は28日、対北朝鮮制裁を監視する専門家パネルの任期を延長する決議案を否決した。ロシアが拒否権を行使した。

この専門家パネルは先週、ロシアがウクライナで使用する弾道ミサイルなどの北朝鮮製兵器を購入し、規則に違反したとの報道があったことを受け、調査していた。

国連安保理は2006年以降、北朝鮮の核開発プログラムに対して数々の制裁を科している。

これらの制裁はなお続いているが、今回の否決により、制裁違反を監視するための専本化パネルが解散されることとなった。

28日の採決では、15カ国中13カ国が賛成したものの、常任理事国のロシアが拒否権を行使した。北朝鮮と緊密な関係にある中国は棄権した。

ロシアがこの専門家パネルの任期延長を拒否したのは今回が初めて。同パネルは過去14年間、毎年、安保理で更新されてきた。

西側諸国は非難

ロシアの拒否権発動を、アメリカやイギリス、韓国など西側諸国は非難した。

ウクライナのドミトロ・クレバ外相はソーシャルメディアで、ロシアが拒否権を行使したことは、戦争に北朝鮮の兵器を使用したという「有罪答弁」に等しいと述べた。

アメリカとイギリス、フランスは理事会の場で、ロシアが専門家パネルを黙らせたのは、ウクライナの戦場向けの武器を北朝鮮から購入するなど、ロシア自身のルール違反を同パネルが報告し始めたからだと指摘した。

韓国の黄浚局(ファン・ジュングク)国連大使も、ロシアの「盲目的な自己中心主義」を批判。制裁体制の「守護者を解散させる」正当性はないと述べた。

「これは、現行犯逮捕されないよう監視カメラを破壊するようなものだ」と、黄氏は重ねた。

ロシアは一貫して北朝鮮製の兵器使用を否定しており、ヴァシリー・ネベンジア国連大使はこの日も西側の非難を退けた。

ネベンジア氏はまた、専門家パネルには何の付加価値もないと主張した。

「専門家パネルは、半島が直面している問題に見合わないつまらない問題に焦点を当て続けている」と同氏は述べ、制裁が北朝鮮国民に「重い負担」を課していると付け加えた。

2019年以来、ロシアと中国は北朝鮮への制裁を緩和するよう安保理にはたらきかけてきた。

安保理は2006年、北朝鮮が核実験を行ったことを受けて初めて同国に制裁を科した。その後も核開発が続くなか、制裁を強化する決議を10回、可決してきた。

しかし、金正恩政権は、自国経済への影響にも関わらず、制裁をほとんど無視している。最高指導者の金総書記は核兵器開発を急速に進めており、近年はさらに攻撃的で危険な軍事戦略を追求している。

国連の専門家らは、北朝鮮がミサイル発射実験や核開発を加速させ、制裁を無視し続けていると指摘する。同政権は今年、ロシアから提供されたと見られる技術で偵察用人工衛星を打ち上げた。

また、制裁に違反して石油精製品の輸入を続け、労働者を国外に派遣している。国連パネルの最新報告書では、北朝鮮によるサイバー攻撃活動の様子が詳細に報告された。

(英語記事 Russia shuts down UN watchdog tracking North Korea sanctions

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cnekppgyx72o


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