2024年11月26日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年4月15日

 バイデンは、もしTikTok法案が議会を通れば、それに署名すると述べた。恐らく、この法案が超党派の支持を得ているとみたのだろう。しかし、日本製鉄に関してバイデンは、本当の経済利益よりも短期的な選挙を優先させている。

 例え、大統領府は単に選挙以降まで日本との取引を遅らせようとしているだけであっても、かかる介入は不可欠な海外からの投資を阻害する。さらに、バイデン政権は「フレンド・ショアリング」を強調し、同盟国との供給網構築に集中している。フレンド・ショアリングは双方向であるべきだ。

 米経済の将来を守る最善の手段は、グローバリゼーションからの撤退ではない。必要な時には競争相手国に対し思慮分別のある国家安全保障セーフガードを発動するとともに、同盟国との一層の統合深化が必要である。

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全米鉄鋼労組の反対理由

 この社説が述べる以上の正論はない。勇気づけられる論調だ。

 社説は、TikTokが米国の安全保障上の脅威となる可能性があるとして、規制が必要なことに同意するが、日本製鉄については、「日本企業によるUSスチール買収は、どう考えても国家安全保障上の脅威にはならない。日本は長年の同盟国であり、中国の影響力抑制という利益を共有している」、「USスチールは、軍への直接供給企業でもない」、「日本製鉄による買収は、米国経済にとり脅威となるものではなく、寧ろその強化に成るものだ」と主張する。

 バイデン政権は仮に「単に選挙以降まで日本との取引を遅らせようとしているだけであっても、かかる介入は不可欠な海外からの投資を阻害する可能性がある。更に、バイデン政権は『フレンド・ショアリング』を強調し、同盟国との供給網構築に集中している。フレンド・ショアリングは双方向であるべきだ。米経済の将来を守る最善の手段は、グローバリゼーションからの撤退ではない」と述べる。

 「必要な時には競争相手国に対し思慮分別のある国家安全保障セーフガードを発動するとともに、友邦国との一層の統合深化を続けていくことが必要である」という最後の一文が印象的である。 


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