2024年4月29日(月)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2013年11月20日

激化する対日「路線対立」

 また習近平が「周辺外交工作座談会」で対日関係改善の模索を指示したが、中国共産党・政府内も、対日関係で「一枚岩」ではないのも現実だ。

 人民解放軍や国家海洋局など対日強硬派は、言うまでもなく尖閣諸島での妥協は一切許さない保守派であり、同座談会翌日に中国国防省報道官が中国軍の無人機を日本が撃墜すれば「一種の戦争行為だ」とけん制する談話を発表し、対日強硬姿勢を続けている。

 しかし中国外務省内部でも路線対立が存在する。「王毅外相らが基盤とするアジア局は、日本との経済交流をもっと重視して関係改善を進めるべきとの意見だが、楊潔チ国務委員(前外相)や報道局は尖閣問題で妥協すべきではないという立場だ」(中国外交筋)

 「周辺外交工作座談会」と「国家安全委員会創設」。習近平の2つの政策から見えてくる対日戦略は、尖閣問題で妥協せず強硬路線を打ち出しながら、その中に経済・民間交流の入り込む「空間」を広げていくというものではないか。だが老チャイナウオッチャーはこう警告した。

 「決して『政冷経熱』(政治関係は冷たいが、経済関係は熱い)にはならない。尖閣問題が解決せず、日本側が軟化しないと、経済関係にも影響するだろう」

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