「パーソナライズド広告のために個人データを使用します」
ターゲティング広告とはユーザーの属性やWeb閲覧履歴、商品の購買履歴などをクッキー(パソコンやスマホに保存されたWebサイトの訪問履歴)やアプリの広告識別子、ブラウザの識別情報から収集し、その利用者の関心の高い分野を推定して広告を掲載する手法で、Facebookはターゲティング広告機能を持っているとされる。ターゲティング機能を使用していることはMeta社の「利用規約」に明らかだ。
「利用規約」とは「プライバシーポリシー」とは別に定められた利用者とMeta社との合意事項である。「利用者は、別段の記載がない限り、Facebookも本規約が対象とするその他の製品やサービスも無料でご利用いただけます。一方、事業者や団体などは利用者に製品やサービスの広告を配信するために広告料を弊社に支払います」とした上で「利用者は弊社製品を利用することで、弊社が利用者や利用者の興味・関心に関連性がありそうだと判断した広告の配信を受けることに同意するものとします。弊社は、利用者にどのようなパーソナライズド広告を配信するかを判断するために利用者の個人データを使用します」としている。
シムズ議長は、Meta社が2019年に最初の消費者からの苦情を受けているにもかかわらず、「消費者が詐欺広告の被害に遭わないようにFacebook上の虚偽広告や誤解を招く広告を検知して削除するようもっと取り組むべきだった。消費者に計り知れない損害をもたらすだけでなく、広告に利用された著名人の評判も傷つけている。著名人が仮想通貨の詐欺広告に掲載されていることをMeta社に報告したにもかかわらず、Meta社は十分措置を講じなかった」と日本でも問題になっているMeta社の対応を批判し、差し止め命令や罰金などを求めている。
Meta社の不法行為が認められた場合、Meta社が受け取った利益の3倍である1000万豪ドル(約10億円)または過去12カ月の売上高の10%のいずれか大きい方の罰金が科される可能性がある。ちなみにMeta社の21年の広告収入は1150億ドル(約17兆7223億円)である。
予想されるMeta社の反論
裁判の決着はまだ先のようだが、Meta社の主張は、「利用規約」に記載されている「4.追加の規定」の「3.法的責任の制限」というMeta社の免責について記載されている事項だろう。
「Meta製品に起因または関連して失われた利益、収入、情報もしくはデータ、または派生的損害、特別損害、間接損害、懲罰的損害もしくは付随的損害について、弊社がそのような損害の可能性について告知されていたとしても、一切の法的責任を負いません」としている点だ。ただで使わせてやっているのだから何の法的責任も負いませんということか。
「プライバシーポリシー」は読んだことがあっても「利用規約」まで詳細に読んだことがあるという人は少ないだろうが、知らないうちに無責任な規約に同意させられているのだ。判決が注目される。