作るべき「なりすまし防止法」
詐欺広告問題に対しては、4月10日に自民党の消費者問題調査会、金融調査会、情報通信戦略調査会、デジタル社会推進本部が合同で勉強会を実施している。意見を聴取された前澤氏は、詐欺広告の削除要請をプラットフォーム事業者の日本法人にしたところ権限がないとの返答を受けたとのこと。そのため米国の親会社に同様の要請を行ったところ、対応するとの回答を得たものの、なりすまし広告は減少するどころか逆に増加したとの体験を語っている。
警察庁ではこの種の詐欺を「SNS型投資詐欺」と呼んでおり、23年だけで認知件数は2271件、被害額は約277億9000万円にのぼるそうだ。
Meta社などのプラットフォームを運営する事業者がなりすまし広告の削除に対して積極的に取り組ませるためには、政府が広告配信業務の停止命令を出せるようにすべきだろうが、日本政府の取組は遅い。抜本的対策としては「なりすまし」行為を罰する法律も作るべきだ。
個人ができる対策
詐欺広告の被害に遭わないためには、検索履歴やWebの閲覧履歴、ECサイトでの購買履歴をターゲティング広告に利用されるブラウザやクッキーに残さないことだ。クッキーを削除したり、Webブラウザのプライシーモードまたはプライベートブラウジングモードと呼ばれる機能を使用することだ。
詐欺広告が表示されなければ詐欺に遭う事もないだろう。クッキーを削除するとWebサイトを表示するたびに毎回IDやパスワードの入力を求められるなどの弊害もあるため、使用しているブラウザ毎にクッキーを管理する方法が書かれているので、よく理解した上で設定変更を行うとよい。Facebookには「広告表示の設定」機能もあるが、クッキーの設定変更が確実だ。
また、広告に出てくる画像はGoogleの画像検索をすれば本物かどうか確かめられるとする対策方法もあるようだが、本物のサイトで同一画像(素材)を使用することもあるので、詐欺被害の防止策としてはいまいちだ。確実にいえることは、資金の振込先口座が個人名義の口座となっている場合、詐欺である可能性が高いということ。
いずれにしてもクリック一つで儲かるような投資話はないと思ったほうがいい。