2024年6月20日(木)

BBC News

2024年5月22日

シンガポール航空の英ロンドン発シンガポール行きの旅客機が21日、飛行中に激しい乱気流に巻き込まれ、タイの首都バンコクに緊急着陸した。航空会社などによると、乗客のイギリス人男性が死亡し、30人以上がけがを負った。男性の死因は心臓発作とみられている。

シンガポール航空によると、この旅客機(ボーイング777-300ER)には乗客211人、乗員18人が乗っていた。乱気流に遭ったあと、バンコクのスワンナプーム空港に午後3時45分ごろ(現地時間)緊急着陸した。

イギリス人の乗客ジェフ・キッチンさん(73)の死亡が確認され、31人が病院に搬送された。けが人のうち7人は重体だという。

同社は搭乗者らの国籍を発表した。オーストラリアが56人で最も多く、イギリス47人、シンガポール41人、ニュージーランド23人と続いた。全17カ国で、日本国籍の搭乗者はいなかった。

同社によると、航空機は飛行開始の約10時間後に、ミャンマーのイラワジ盆地上空の高度3万7000フィートを飛行中、「突如の極端な乱気流」に見舞われた。同社はタイ当局と協力して乗客に医療支援を提供するとともに、追加支援が必要な場合に備えてバンコクにチームを派遣しているという。

シンガポールのチー・ホン・タット運輸相は、同国政府が乗客と家族に支援を提供すると表明した。

地域のため活動した人

シンガポール航空は、亡くなったキッチンさんの家族に深い哀悼の意を表した。

イングランド南西部のサウス・グロスタシャーでキッチンさんが運営にかかわった地域劇団ソーンバリー・ミュージカル・シアターの関係者は、キッチンさんが「常に、とことん正直で誠実な紳士だった」としのび、キッチンさんがソーンバリーのコミュニティーのため35年以上、活動し続けたのだと説明した。

天井や棚に打ちつけられた乗客も

乗客らは、機内で食事が提供されていた最中の急降下によって人や物が激しく揺さぶられる体験について、「本当に恐ろしい」と口々に語った。

イギリス人のアンドリュー・デイヴィスさんは、最初の数秒間に「ひどい悲鳴と、ドスンというような音」がしたと説明。「物が空中を飛んでいくのを見た」、「コーヒーを浴びた。すさまじく激しい揺れだった」とBBCに話した。

学生のジャフラン・アズミルさん(28)は、機体が突然、上向きに傾いて揺れ出したとロイター通信に述べた。「何が起きているのかと身構えたら、突然かなり急降下した。座席でシートベルトをしていなかった人は全員、一気に天井へと投げ出された」、「頭上の手荷物棚に頭をぶつけてへこませたり、照明やマスクのある場所に頭をぶつけて突き破ったりした人もいた」。

息子の結婚式のためにオーストラリアに向かう途中だったというイギリス人のジェリーさん(68)は、急降下の前に何の警告もなかったと話した。「私は天井で頭を打った。妻もだ。歩いていた人たちは気の毒に、宙返りする羽目になっていた」。

首をけがしてタイの病院に運ばれたイギリス人男性は、家族で誰も死ななかったのは「幸運だった」とし、「トイレで屋根にぶつかった人もひどいけがを負ったと聞いた」と話した。

激しい乱気流

乱気流は、雲の中を航空機が飛行することで引き起こされるのが一般的だが、航空機の気象レーダーに映らない「晴天」乱気流もある。

航空専門家ジョン・ストリックランドさんは、「激しい乱気流でけが人が出ることは、何百万というフライトの数を考えると、比較的まれ」だとBBCに話した。

「だが、激しい乱気流は大規模になって重傷者を出すことがある。残念ながら、今回は死者を出してしまった」

「フライトの長短にかかわらず、飛行中はシートベルトを緩めに締めておくよう航空会社が推奨しているのには意味がある」

航空ジャーナリストのサリー・ゲシンさんも、シートベルトの着用が「生死を分ける」場合があると説明。激しい乱気流の中では、ボルトで固定されたもの以外は危険だと述べた。

乱気流をめぐっては、気候変動が将来、激しい乱気流を発生させる可能性を高めるとの研究もある。

(英語記事 Passengers tell of horror aboard turbulence-hit flightBritish man, 73, who died during turbulence on flight named

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c51155j86zlo


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