2024年6月14日(金)

BBC News

2024年5月23日

バフマン・カルバシ、BBCペルシャ語

19日午後にエブラヒム・ライシ大統領(63)を乗せたヘリコプター墜落したというニュースが流れた後、多くのイラン国民がソーシャルメディアで表明したのは、ショックと不信感だった。

国営メディアがこの出来事について、いつも通りの限定的な、そして時には矛盾した情報しか伝えないなか、インターネット上ではすぐに憶測が飛び交った。

ライシ大統領と、同乗していたホセイン・アミル・アブドラヒアン外相ら政府高官7人が死亡したのではないかと、思いをめぐらせる人もいた。

政府関係者は発表の準備に手間取っているのか。それとも一般国民と同じように、搭乗者の運命について把握できていないのか――。そんな疑問が投げかけられた。

X(旧ツイッター)では、「(大統領は)間違いなく死んでいる」、「危機管理のために時間を稼いでいるだけだ」との書き込みも見られた。

一方で、墜落の原因についても憶測が出回った。墜落は人里離れた山間部で、激しい霧と雨の中で起きた。

イランでは長年、飛行機の墜落が絶えないが、今回の出来事は単なる事故なのか、それとも攻撃や妨害工作の結果なのか、と問う人もいた。

Xの投稿の一つは、「イラン中を探しても、機能している飛行機は片手で数えられるほどしかない」とし、こう続けた。

「(政府の)強硬派が、新しい飛行機やヘリを買うのはぜいたくで無駄だと言ったのを覚えているか?」

しかし19日の夜には、人々の間の空気が明らかに変わっていた。

夜が更けても捜索救助隊が墜落現場を発見できないなか、国営テレビはライシ大統領のために祈る映像を全国に放送した。

一方、最高指導者のアリ・ハメネイ師は国民に対し、「心配しない」よう呼びかけるとともに、「国の仕事に支障は生じない」と述べた。

多くのイラン国民はこの発言を、政府がヘリコプターに搭乗していた人々に何が起こったかをすでに認識しており、朝には発表があるという示唆だと受け取った。

搭乗者たちの運命をめぐる疑念が確信に変わるにつれ、国内体制への反対派と支持派で反応は対照的になった。

反対派は、ライシ大統領の死を「朗報」として祝った。ライシ氏は、2022年の「女性、生命、自由」抗議運動に対する暴力的な弾圧や、1980年代後半の政治犯の大量処刑に関与したことで、多くの人々から非難されていた。

ペルシャ語のソーシャルメディア上では、ライシ氏に関するジョークや皮肉めいたコメントが多く見られたほか、2年前に殺されたりけがを負わされたりしたデモ参加者の写真も投稿された。

また、首都テヘランの数カ所で花火が打ち上げられる様子の映像もあった。

Xでは、「あまりに楽しげな雰囲気だから、政権は3日間の服喪の代わりに、3日間の軍による夜間外出禁止令を出すことを検討したほうがいいかもしれない」という投稿も見られた。

一方で政権の支持者らは、ハメネイ師の呼びかけに応じ、テヘランで少なくとも1カ所の広場に集まり、ヘリコプターに乗っていた人々に祈りをささげた。

国営メディアが20日朝に大統領の死を報じると、他の都市でも、支持者らが悲しみの集会を開いた。

ソーシャルメディアでは、このニュースを大っぴらに喜んでいる人々を非難し、中には脅迫するようなコメントも見られた。

宗教者のモハンマド・モハンマディ・タバル氏はXに、イラン国民は「浮かれている人々に毅然と打撃を与えるべきだ」と書き込んだ。一方インスタグラムではあるユーザーが、政権に殺された若者の写真に、ライシ大統領が「挑戦者に容赦しない」と宣言した音声をかぶせて投稿した。

脅迫はソーシャルメディアにとどまらなかった。司法当局も、大統領の死を祝ったことが判明した者は訴追されると警告した。

一方で、このニュースにほとんど無関心な「グレーゾーン」の国民も大勢いる。

最高指導者が最終的な権力を握り、反対派を取り締まる治安部隊を支配しているなか、多くのイラン人は、大統領の死によって大きな変化が起こるとは信じていない。

政府は大統領らの葬儀で参列者を増やすため、支持者を動員したとみられている。

(英語記事 How Iranians reacted to president's helicopter crash

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cqqqr602py7o


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