本来であれば、9000トンも獲らずに、個別割当制度を使ってその2~3割に漁獲数量を落としていれば、今年はさらに価値が高い大型のサバが増え、そのサバが春には産卵して資源が持続できるはずだったのです。このような過ちは、制度が整っているノルウェーでは起こらないことです。残念なことに今年の北海道沖のサバは2年目にして、早くも小型化が始まりました。これは、過去に北欧で起こってしまった悪いケースからして、予想通りの結果でした。
重要なのは、水揚げ量ではなく金額
2013年10月3日に、2014年の北欧でのサバの漁獲枠に関する勧告がICES(国際海洋探査委員会)から発表されました。資源が増えているために、前年の54万トンから89万トンに大幅増枠というものでした。
しかし、ここで注目すべきことがあります。異なる調査方法による2つの資源量を示すデータがあったのですが、ノルウェーの青物漁業協同組合は、漁獲枠の増加が少なくなる数字の方を強く支持していたということです。獲り切れないほど多い漁獲枠を与えている日本とは大きな違いです。
この発表前に、サバの資源が880万トンと巨大になっているとアイスランド海洋研究所からの調査発表があったのですが、結局はその数字は枠の決定には反映されず、従来の国際海洋探査委員会の数字が採用されました。前者の数字が取り入れられれば、さらに大幅な増枠となり、買付価格に大きな影響がでると、筆者は固唾をのんで発表を待っていました。ノルウェーの漁業者は、資源を持続的に利用する重要さを、1970~80年代のニシンの乱獲等で身に染みて知っています。また、重要なのは、水揚げ数量ではなく、水揚げ金額であり、水揚げ金額とは数量X単価。短期的に大量に魚を獲って喜ぶような考えはないのです。
「0歳魚」を守れない日本
最後に漁獲枠に触れます。世界の水産資源管理における常識は、漁獲枠=漁獲量です。上記のサバ枠についても、世界のバイヤーが注目しているのは、その漁獲量の信頼性にあるのです。
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日本の場合は、すでに述べたように、獲れないような量を想定して枠にしてしまっており、常に漁獲枠>漁獲量です。また、漁獲枠(TAC)対象魚種はたったの7種しかないのに、毎年途中で何魚種か増えます(表1)。日本のTACの話を海外の関係者とすると、大抵は悲しい顔をされるか苦笑いされます。資源管理で成長を続ける世界の国々からは異次元の制度に見えてしまうのです。