2024年12月4日(水)

バイデンのアメリカ

2024年6月10日

 米国のドナルド・トランプ前大統領は大統領就任時代、アメリカ国内で動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」を含む中国製アプリを営業停止に追い込もうと試みていた。しかし、2024年6月1日にTikTokのアカウントを開設すると、猛烈な勢いでフォロワーを獲得している。なぜいまTikTokを使いだしたのか。
 トランプ陣営は大統領選に向けて第一次政権で不完全燃焼に終わった「米国第一主義」を再び推進しようとするだろう。対中国強硬姿勢にも変わりはないと見られているが、「第二次トランプ政権」発足に向け、米英各紙では政策運営面をどのように報じられているか。2023年10月17日に掲載した『見えてきた「第二次トランプ政権」の政策 その驚愕内容』を再掲する。

 米大統領選で各共和党候補が指名獲得レースでしのぎを削る中、独走状態のトランプ陣営は早くも、「第二次トランプ政権」発足に向け、政策運営面での大胆な〝青写真〟作りに着手している。もし、その基本構想が具体的な形で実行された場合、国内のみならず、世界を混乱に陥れる危険もはらんでいる。

2024年米大統領選へ出馬を表明しているトランプ前大統領の陣営は、着々と政策の構想を固めている(lev radin/shutterstock)

注目される二人のブレイン

 英国有力誌「Economist」の報道によると、政策立案の主な担い手として浮上しているのが、テキサス州フォートワース在住のブルック・ロリンズ女史、首都ワシントンで弁護士事務所を構えるポール・ダンズ氏の二人だ。

 ロリンズ女史は、「全国共和党委員会」(RNC)幹部の間では早くからその存在が知られており、トランプ大統領の在任期間中、ホワイトハウスで「国内政策会議」を主宰するなど、重要な役割を担ってきた。

 トランプ氏が2020年大統領選に出馬した際にも、「第二次トランプ政権」発足に備えた政策立案を主導、敗退後はただちに、24年トランプ再選戦略を見据えたシンクタンク「America First Policy Institute」(AFPI)を立ち上げ、今日に至っている。それだけに、トランプ氏の信頼も厚い。 

 ダンズ氏も、トランプ政権時代に連邦政府人事局首席補佐官としてホワイトハウス・スタッフの選定・登用に重要な役割を果たしてきた。昨年4月からは、それまで培ってきた〝トランプ人脈〟を生かし、ワシントンの保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」で次期共和党政権発足に備えた「2025年政権移行プロジェクト」部長の要職にある。

 いずれの組織にも共通するのは、スタッフの層の厚さだ。

 ロリンズ女史率いる「AFPI」には、トランプ政権当時の閣僚8人、政府高官20人を含む172人の有力スタッフが名を連ね、「ヘリテージ財団」ではすでに350人近いスタッフがプロジェクトにかかわっており、「第二次トランプ政権」下でただちに打ち出すべき具体的内外政策や人事について、連邦政府の省庁ごとに検討中といわれる。

 それだけに、トランプ氏再選に備えたブレーン・トラストとしての両者の今後の動向がますます注視されることになる。


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