2024年11月22日(金)

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2024年6月14日

スペックは重要でない

 一方、補聴器の実力はというと、今どきの補聴器はかなり高度に細やかに周波数や音量を分けて脳に届けることができる。というのも、補聴器には複数のチャンネルがあり、それぞれを周波数に対応させて、別々に、「各々の必要分の音量」を調整することができるのだ。

補聴器では「チャンネル」を「周波数」に対応させている。なお、図中の「NR」とは、「Noise Reduction=ノイズリダクション機能」のことで、「AGC」とは「Automatic Gain Control=オートゲインコントロール機能」のこと。(資料提供:日本補聴器販売店協会)

 とはいえ、そのチャンネル数は、自分の耳が元々対応している全周波数に対応するレベルではない。よって正確に言うと、各「周波数ごと」というよりは、「周波数帯ごと」に調整はされる。チャンネル数は値段にリンクしていて、高額なものほどチャンネル数は多い。

「高額なものだと64チャンネルある補聴器もありますが、聞こえを良くするためには8~16チャンネルあるものを選べば十分です。値段で言えば、一つ10~15万円程度です」

 そしてここが補聴器選びで誤解しがちなポイントだと思うのだが、「高額でハイスペックなものを選べば、より聞こえが良くなる」と思ってしまわないだろか? 実は、私は思ってしまった。

 そのため、補聴器を試し始めた母が「使いづらい(のでつけなくなった)」というのを聞いて、チャンネル数が多くてAIも搭載されたハイスペック機種ならば使えるかもしれないと考えた。そしてハイスペック機種の情報を必死に探して母に伝えたのだが、私の地元では探した機種を扱っているのがメガネ店しかなかったので、結果的に母にはメガネ店から補聴器を購入させることになってしまった……。

 が、補聴器選びで真に大切なのは、ハイスペックのものを探し求めることではなく、しっかり調整とトレーニングをしてくれる場所(機関・専門家)を探し選ぶことだったのだ。

「補聴器を使って聞こえを良くするためには、補聴器のスペックにこだわることよりも、周囲の雑音と言葉の違いを聞き分けるトレーニングこそが重要です。要はいかに、その方の聴力に合わせてリハビリを行うかです」という小川先生の言葉をかみ締めたい。
 
 では、しっかり調整とトレーニングをしてくれる場所(機関・専門家)は、どう探せばいいのだろうか?
 
 次回は、補聴器の画期的なトレーニング方法を実践している医師を取材すると共に、トレーニングを意識する上で、窓口となる場所の情報をご紹介する(続く)。

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