集団活動にも生かせる自己防衛策
そのためには、著者が指摘するようにまず気づいて見極め、こちらが「ちょっと面倒くさい人間だ」と相手に思わせ、敬遠するように仕向ける。できるだけ避け、相手の関心を失わせるというやり方が自己防衛策になるのだろう。相手の心理や思惑を意地悪なまなざしを持って読むべしという著者の指摘は鋭い。
これは職場に限らず、人々が密接に接触する場、例えば寮や寄宿舎、クラブ活動や運動部、趣味の団体などでも言えることなのかもしれない。
本書に紹介される人間関係は問題の深さと解決の難しさが顕著な事例ばかりだが、程度の差こそあれ、こうしたことは誰にでも起こりうる。人間の心理を読み取って上手に対処し、自分に影響が及ばないように自己防衛することが大事であることを迫真のリアリティをもって教えてくれる力作である。