2024年7月7日(日)

BBC News

2024年7月4日

国連は1日までの2日間の日程で、アフガニスタン情勢について話し合う会議をカタール・ドーハで開催した。アフガニスタンで2021年に復権した武装勢力タリバンの代表団も初めて出席した。タリバン政権はどの国からも政府として承認されていない。

複数の外交官は、タリバン代表団との2日間の協議は実りあるものだったとしている。

タリバン政府の主張により、市民社会団体の代表者の同席はかなわなかった。そのため、アフガニスタンからの代表団には女性が1人も含まれておらず、人権団体や活動家たちから批判の声が上がった。

国連関係者は2日、アフガニスタンの市民社会団体と個別に面会した。

解決策の提示なく、タリバン政府はどうするつもりか

この会議の主催者や参加者からは、大々的な発表も、大きな打開策も、そして解決策も提示されなかった。もとからそのいずれも期待されていなかった。その代わりに、タリバン当局者や外交官たちは落ち着いていて、ひとまずは前向きな様子だった。

BBCが話を聞いた外交官たちによれば、協議のトーンは「敬意のある」「積極的で」「率直」なものだったという。何度も繰り返されたのは、「これはプロセスだ」という言葉だった。

ザビフラ・ムジャヒド報道官率いるタリバン代表団からは、譲歩も誓約も得られなかった。BBCのキャロライン・デイヴィス記者が、タリバン政府は何を提示するつもりなのかを尋ねると、同報道官は「我々は、彼ら(国際社会)が何を望み、我々がシャリア(イスラム法)に基づいて何ができるのかを見極め、前に進む」と答えた。

「シャリアに反するものについては我々は議論しない。シャリアの枠組みに収まるものなら、それを解決する。これはプロセスであり、これからも続いていく。これが我々をどこへ導き、我々がどれだけ改善していけるのか、そのうちわかるだろう」

女性めぐる問題は国内で解決と

今回議題となったのは、麻薬対策や民間セクターに関するもので、人権や女性の役割をめぐる問題よりは取り上げやすいテーマだった。

後者について、タリバンは国内の問題だとの見解を崩さなかった。

「我々はこの種の問題を、他国と議論したくはない。我々は自国で解決策を見つける」と、ムジャヒド報道官は述べた。

タリバン復権から3年近くたった今も解決策がないことをBBCが指摘すると、同報道官はこう答えた。「我々はそのことを無視しているわけではない。我々は取り組んでいる。シャリアに基づく解決策を模索している」。

「ジェンダー・アパルトヘイト」

アフガニスタンでは女性や子供は中学校に通うことや、公園やスポーツジムに行くこと、特定の仕事に就くことなどが禁じられている。こうした制限が増えているアフガニスタンの状況を、国連は「ジェンダー・アパルトヘイト」と呼んだ。

「これは単なる国内問題ではない。そのことを我々は彼ら(タリバン)に明確に伝えている」と、今回の会議で国連を率いたローズマリー・ディカルロ氏は述べた。

また、2021年8月にタリバンがアフガニスタンを掌握する以前に、当時のアフガニスタン政権が署名した、人権に関するさまざまな条約に言及。「政府が変わっても関係ない。彼らは今もその当事者だ」と述べた。

欧州連合(EU)のアフガニスタン担当特使、トーマス・ニクラソン氏は「彼ら(タリバン)は(女性の権利について)話し合う準備ができているが、実行する準備ができていないと私は思う」とBBCに述べた。

「私は女性の権利をめぐる状況が変わると希望を持っている。ただ、時間的な見通しについてはわからない」

なぜ希望を持てるのかとBBCが問うと、「アフガニスタンの人々が、回復力をもって、押し返そうとしている姿をみて驚いている」とニクラソン氏は説明。少しの沈黙のあと、「希望とは必ずしも理性的なものではない」と付け加えた。

会議の成果は

国連は2日、市民社会団体の活動家らとの個別の会談を用意したが、何人かはボイコットした。また、出席者は誰一人メディアの取材に応じようとはしなかった。

国連が提供した出席者リストによると、中国やロシアを含む数カ国はこの会議に出席しなかった。欠席した代表団のいくつかは渡航の手配をしていたと、国連はBBCに明かした。

この種の会議の次の日程は決まっていない。今回参加した国の多くはすでに、タリバンと個別会談を行っており、今後も継続されるという。BBCが話を聞いた関係者はいずれも、この数日間でさらなる取り組みと対話のための基礎が築かれたと考えていると語った。

タリバンが実権を握ってから3年近くがたった。BBCが取材した外交官たちの間には、一つの考えが広まっていたと、デイヴィス記者は指摘する。それは、少なくとも意見が一致するいくつかの部分で関わっていかなければ、アフガニスタンの状況はほとんど改善しないだろうというものだったという。

「とにかく、どこかからか始めなければならないと、我々は感じた」と、国連のディカルロ氏は2日の記者会見で述べた。

(英語記事 Talks with the Taliban - no women allowed

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cq5x983rqdvo


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