2024年7月7日(日)

BBC News

2024年7月4日

中国は、領海内で違法に漁をしていた台湾の船を2日夜、拿捕(だほ)したと発表した。現場海域では一時、双方の沿岸警備当局の船がにらみ合った。

台湾は中国に対し、中国南東部・囲頭の港で係留されている船と、拘束されている乗組員5人(台湾出身2人、インドネシア人3人)の解放を求めている。

台湾当局はBBCに、中国の沿岸から約2.8カイリ(5.1キロメートル)の中国の領海内で台湾船が拿捕されたと認めた。中国が毎年5~8月に設定している夏季禁漁期に操業していたという。

船長からは午後8時4分に、中国海警局(沿岸警備隊)の船2隻の職員らが漁船に乗り込んできて、船が拿捕されたと連絡があったという。

中国海警局の報道官は、「漁船が禁漁規定に違反し、禁漁海域で違法にトロール漁を行った」と述べた。また、不適切な漁具を使用し、「海洋漁業資源に損害を与えた」と非難した。

台湾は、こうしたコメントに反応していない。

台湾の沿岸警備当局の船3隻も漁船の救助のために出動し、現場海域では短時間ながら緊迫したにらみ合いとなった。台湾当局の船は、中国海警局の別の船4隻が接近していたことから、それ以上緊張を高めないよう追跡はしなかったという。

中国海警局は、台湾の沿岸警備当局が拡声器を使って漁船の解放を要求したとしている。中国側も同じ方法で、台湾当局に干渉しないよう求めたという。

拿捕された漁船のオーナーは現地メディアに、「当時は40~50隻の漁船が海に出ていた。なぜ私の船が狙われたのか分からない」、「こんなことは一度もなかった。以前は、近づきすぎると追い払われるだけだった」と話した。

中国と台湾を隔てる幅約180キロの海峡では、このようないざこざがよく起きている。

中国は、自治を行っている台湾を自国の領土だとし、この海峡は中国の排他的経済水域だと主張している。しかし、日本やアメリカなど、この海域を航行する他の国々は、これを認めていない。

近年は中国軍が台湾への圧力を強めている。

台湾のデータによると、中国当局は2003年以来、夏季禁漁期に漁を行ったとして、台湾籍の船17隻を拿捕、係留している。一方、台湾も今年だけで中国の船5隻を係留している。

中国と台湾はかつて、漁船に対して互いに柔軟な姿勢を見せていた。中国沿岸に極めて近い、台湾の島々の周辺では、特にそうだった。

しかし近年、台湾は自らの水域をより厳しく取り締まるようになっている。中国沿岸部・福建省の漁民による密漁が急増しているためだと、台湾は説明している。

今年2月には、台湾の沿岸警備当局の追跡を受けた中国の漁船が転覆し、乗っていた中国人漁師2人が死亡する事案が発生。以来、中国海警局も台湾の離島周辺のパトロールに力を入れている。

中国海警局は、東シナ海で日本が支配する島々(日本では尖閣諸島、中国では釣魚島と呼ばれる)の周辺でも行動を強化している。先月には、日本の漁船を追い払うという前例のない行動に出て、中国と日本の沿岸警備当局の船が一時にらみ合う格好となった。

(英語記事 China seizes Taiwan boat with crew for illegal fishing

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c2lk5qvq9pvo


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