2024年4月19日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年12月25日

 米国は中東地域から手を引けない。ケリー国務長官も、「アジアへの軸足移動」を最近ではあまり言わない。欧州にとっても裏庭シリアの情勢は、かつてのボスニア戦争以上に影響するので、外交努力を強化せざるを得ない、と述べています。

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 本件論評の大筋に賛成です。現在、中東では、イランが話し合いの枠に入ってきたこと、イスラエル=パレスチナ和平交渉が再び進み始めたこと等、パラダイム変化が起きようとしています。

 これは米国がアラブの同盟国よりイランとの関係修復を優先させる動き、あるいは、米国が中東から「撤退」する動きとも見えますが、実際はイランにも足場を作る一方、パレスチナ和平も進めることで、中東に勢力均衡を樹立し、そのヤジロベエ構造の上に乗ってバランスを操り、容易に戦争を起こさせない体制を作りつつあるとも言えます。

 ロシアは、米国が頼りにならないように見える間、補強の案山子として使われているだけです。キルギスのマナス空港からの米軍引き上げが発表されたこと、ウクライナがEUと連合協約を結ぶ動きを止めたこと等、ロシアにとってはその勢力圏が再び戻ってきたように見えても不思議ではありませんが、一方、ロシア国内の議論は、GDP成長率が1%台に落ちてしまったことに集中しています。そして今のロシアが、イラン、イスラエル、サウジ・アラビア、エジプト、トルコ等を相手に巧みな外交を続けられるかどうかはわかりません。

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